唐辛子を使った辛い味付けで知られる四川料理。代表的なのは麻(マー)と辣(ラー)と呼ばれる味で、麻は山椒の痺れるような辛味。もうひとつの辣は唐辛子の辛さをさす。とはいえ辛いものが苦手な人でも大丈夫。火鍋などの辛い料理の合間にさっぱりした野菜料理が出たりする。市街には茶館もあり、気軽な小吃や点心も楽しめる。
唐辛子そのものはもちろん、豆板醤など多彩な調味料を駆使した深い味わいが四川料理の魅力だ


日本人におなじみの担担麺や麻婆豆腐も四川料理。しかし、レストランや家庭料理で慣れ親しんだ味と現地のものとはかなりおもむきが違う。何より一番異なるのは、スパイスの香り。そして辛さの性質だ。麻の文字の入ったメニューは花椒と呼ばれる山椒を多用、舌先がビリビリ痺れる辛さなのだ。
名物、麻婆豆腐はしっかりとした豆腐にひき肉。そこへ豆鼓(トウチ。大豆を発酵させた味噌に近い調味料)や豆板醤、そして花椒の刺激が渾然一体となっている

練りゴマとピリ辛の肉味噌の風味が担担麺の特徴だが、本国ではもっと多彩。ピーナツペーストや、芽菜(ヤーツァイ。四川漬物の古漬け)などが入る
麻婆豆腐の麻は辛さ。つまり麻豆腐で辛い豆腐、という意味だが、ではなぜ婆?
成都には陳麻婆豆腐という有名店があるが、ここが麻婆豆腐の起源となった店。陳さんというおばあさんが道行く人に辛い豆腐の煮込み料理を商ったことから、商品名が麻婆豆腐となったというわけだ。
一方、担担麺。『担ぐ』という文字が重ねられているが、こちらは天秤棒で振り売りに歩く、いわば屋台のラーメンのようなものだったことから。天秤棒で担ぐので大量の湯やスープは持ち運べない。そこでさっとゆでた麺に濃厚な練りゴマと炒めた肉味噌と唐辛子を味付けにした、汁気の少ない麺料理を商っていた。これが担担麺の始まりだと言われている。店で味わう担担麺は汁気が多いが、そんな由来を聞くと、あの濃厚さもうなづける気がする。














