世界最大のモスクが西アフリカにあった

西アフリカのマリに流れるニジェール川の畔にジェンネという町があります。首都バマコから北西約400kmに位置するこの町は、かつてサハラ砂漠を横断する交易の中継地として栄えたという歴史がありますが、現在は人口1万5000人足らずの小さな町にすぎません。ところが、そんな小さな町に、なんと世界最大のモスクが建っているのです。イスラム教の礼拝堂であるモスクといえば中東が有名ですね。石油で潤う産油国にも巨大なモスクはあり、なによりイスラム教最大の聖地であるメッカはサウジアラビアです。それなのに、なぜこんな小さな町に西アフリカに世界最大のモスクが建っているのでしょうか。

西アフリカの大地に立つ巨大モスクはなぜ世界最大なのか? 西アフリカの大地に立つ巨大モスクはなぜ世界最大なのか?

ジェンネのモスクが世界最大な理由

ジェンネのモスクは幅はおよそ50m、尖塔の高さが20m。確かに大きな建築物ですが、それだけでは世界最大とは言えません。それは実は泥でできているのです。泥の建築物としては、モスクだけでなく建物としても世界最大で、「泥のモスク」と呼ばれています。泥の日干しレンガを積み上げて、表面を泥で塗り固めたもので、内部には木材を組み、これらの泥と木材だけで巨体を支え、形づくっているのです。このような建築物は世界でも希有で、1998年に世界遺産に登録されました。最初のモスクは13世紀に建てられましたが、19世紀に破壊されてしまい、現在のモスクは20世紀初頭、当時の宗主国フランスによって再建されたものだそうです。

泥のモスクの弱点

それにしても泥で造ったモスクに雨が降ったら壊れないでしょうか。それが気になります。もちろん雨が降れば表面の泥は流されますし、近くを流れるニジェール川の水があふれて、流されてしまったことも実際にあったそうです。それで、毎年雨季の前に周辺の住民たちが総出で泥を運び、モスクの壁によじ登って塗りかためながら修復を重ねています。そうやってモスクは保たれているのです。ユネスコも「100年後には見ることができなくなっている可能性が最も高い世界遺産」に選定しているそうですが、世界最大の泥んこ遊び建物が世界遺産になっているというわけですね。泥のモスクは、その巨大さにもかかわらず周辺の風景としっくりなじんでいます。それは泥が周辺からとったものであり、近辺にある民家もまた同じ泥で建てられているからなのです。それが美しい風景を作り出しているといえるでしょう。