古代から日本の玄関であった北部九州

玄界灘を望む北部九州。現在の福岡市がある一帯は、天然の良港として古くから中国大陸や朝鮮半島などとの交流の玄関口としての役割を果たしてきました。西暦57年に中国から贈られた金印の発見も市東部の志賀島でのこと。遣隋使・遣唐使もこの地の港から派遣され、平安時代以降外交及び外国からの賓客をもてなす施設であった筑紫の「鴻臚館(こうろかん)」も現在の福岡城址にありました。二度にも及んだモンゴルの襲来を受けたのもこの地ということを考えると、いかにこの北部九州が海外との接点となってきたかがよくわかります。

日本一「アジア」を身近に感じられるまち 福岡市 その1 日本一「アジア」を身近に感じられるまち 福岡市 その1

海外交流の歴史の産物 「福岡アジア美術館」

福岡市は現在、そのような歴史から、アジアとの交流を市全体で活発化させています。その先進的な取り組みの一つとして1999年に完成したのが「福岡アジア美術館」です。立地は九州最大級の演劇専用劇場「博多座」などを併設する、「リバレイン博多」という大型複合施設の中。空港や博多駅からのアクセスも至便で、アジアな雰囲気が漂う中洲の屋台も徒歩10分ほどです。開館15年を迎えた今では「あじび」と呼ばれて市民に親しまれています。

世界でも独自の存在感を放つ

福岡アジア美術館のコレクションは、母体である福岡市美術館(1979年開館)で定期的に開催された「アジア美術展」を通して収集した作品が元になっています。いわゆる「美術家」以外のさまざまな作り手による大衆芸術、民族芸術、民俗芸術をも対象としコレクションに加えてきました。またレジデンス事業としてアジアから美術作家、研究者、学芸員等を一定期間にわたり招聘し、交流。アジアの文化・美術に対する理解向上を目指しています。まさにアジアの近現代美術に特化した世界でも無二の存在感を放つ美術館といえるでしょう。

なんとリキシャも展示している!

アジアには原色をふんだんに使ってペイントしたり、ド派手な装飾を施した乗り物がたくさんあります。パキスタンやアフガニスタンのデコトラ(デコレーショントラック)やフィリピンの乗り合いタクシー「ジープニー」、そしてバングラデシュのリキシャなどがそうです。おもしろいことに通常の美術館では収集されないような「大衆芸術の粋」とも言えるこのリキシャが、アジア福岡美術館では展示してあるのです。日本の人力車をルーツにもつバングラデシュのリキシャは自転車の後ろに人力車の座席部分をくっつけたようなもの。バングラデシュの首都ダッカでも、まだまだ現役で華やかな装飾をつけたリキシャが走り回っています。福岡市まで来たらアジア福岡美術館へ立ち寄って、遠くバングラデシュからやって来たリキシャーを見るのはいかがでしょうか。