世紀の骨董船でバングラデシュの川を行く

バングラデシュ観光の目玉に「ロケット・スティーマー」と呼ばれる船があります。この船、製造されたのがなんと1926年。当時はイギリスの植民地だったインドのコルカタで、イギリスによって造られました。90年近く前のもので、動くのが不思議なほどの骨董品ですが、今でも動いていて観光客に大人気。名前はロケットですが、超スローな船で、外輪船という今どき超レアな駆動スタイルです。船の両脇に水車のようなパドルがあり、それががらがらまわることで動くようになっているのですね。水深のない河川運行にはこれが向いているのだそうですが、こんな旧式の船が現役の定期客船になっているのはバングラデシュぐらいのものでしょうか。だから観光客には人気が高いのです。

バングラデシュのロケットという名前のスローな船旅 バングラデシュのロケットという名前のスローな船旅

この船に予定通りという言葉はありません

製造当初は蒸気船だったのですが、1995年にディーゼルエンジンに積み換えられたそうです。70年もたった船を改造してまだ使おうとするのもすごい話です。現在では3隻の外輪船がそれぞれダッカとクルナを週2往復しています。スケジュールは一応ありますが、ないのと同じで、この船には予定通りという言葉はありません。週2往復のはずが欠航になることもしばしば、夕方に出港する予定が翌朝出発、夕方に着くはずが夜中に着いて、そのまま朝まで港の船室で睡眠とか、いつもそんな調子です。それが楽しいという方でないと、この船に乗ることは無理かもしれません。にもかかわらず大人気で、この船のチケットはなかなか取れないのです。

船の上から見るバングラデシュ人の生活

船に乗ると、まさに歩くような速度で川をゆっくりと進んでいきます。船からは河岸に暮らす人々の生活が目の前に見えます。川で泳ぐ子どもたちが手を振り、洗濯をする女性が笑いかけてきます。忙しそうにしている人はほとんどいません。田植えのシーズンには、昔の日本のように並んで苗を植える人々の姿を見ることができるでしょう。船着場では多くの人が船の到着を待ちわびています。この船は川の国バングラデシュで人々の生活の大切な足なのです。実に多くの荷物を積み込んだり、別れを惜しんだり。この船に乗ると、ゆっくりのんびりした人生の流れの中にいることを感じさせてくれるでしょう。もしかしたら、だからこの船は海外からやってくる観光客に人気があるのかもしれません。