17世紀の日本人の痕跡が残る十字回廊

「世界遺産アンコールワット徹底解説!」その4からの続きです。第一回廊と第二回廊との間にあるのが、「十字回廊」です。十字型に区切られた間には、4つの沐浴池があります。かつてはここで巡礼者たちが身を清めていましたが、残念ながら現在、水は張られていません。また、アンコールワットが仏教寺院に変わった後、千体を超える仏像が置かれていたと言われていますが、今はその多くが無くなっています。ここでの見所は、南側にある「森本右近太夫の落書き」でしょう。1632年に肥前藩の武士の森本右近太夫が父の菩提を弔うためにこの地を訪れ、仏像を奉納したことを示しているとか。文字の判別はしにくいですが、当時の日本人の足跡を知る貴重な資料となっています。

時間のある限りゆっくりと見て回ろう 時間のある限りゆっくりと見て回ろう

がらんとした第二回廊は、外側の方が見ごたえあり

十字回廊を進むと階段があり、それを登ると東西が115m、南北が100mあるという第二回廊に出ます。中に入ってみればわかりますが、内部に浮き彫りはなく、頭部のない仏像だけがあり、がらんとしています。ということで、ここで見るべきは内部ではなく、中庭に面した外壁の彫刻でしょう。さまざまな表情や仕草をしたデヴァター(女神)たちや、採光のための連珠窓の装飾を見ながら、いよいよアンコールワットの中心部である第3回廊へと進みましょう。

いよいよ寺院の中心、中央祠堂に到達

アンコールワットの中心部は四隅にある4つの塔とそれをつなぐ第3回廊、そして中央祠堂からなっています。まずは70度という急傾斜の階段を登り、第3回廊へ。この先は入場のための服装の規定があるので注意です。つまりここから先は、神の領域なのです。この第3回廊の高さは地上から30m。囲まれた内側は4つに区切られ、そこに4つの沐浴池がありました。須弥山を表しているという中央祠堂の高さは、第3回廊からさらに34mあります。中には4体のブッダ像が納められていますが、完成当時にはスーリヤヴァルマン2世が祀ったヴィシュヌ像が安置されていたようです。余裕があったら、ここも外側の浮き彫りや装飾も見てみましょう。

アンコールワットは時間をずらして1日に二度行くのがいい?

さあ、「アンコールワット詳細解説」いかがでしたか? 見学所要時間はおよそ2時間ほどです。日中は暑いので、ツアーによっては早朝の日の出タイムに一度来て、あとは混んでいる午前中を避けて夕方に出直すものもあります。写真撮影ですが、アンコールワットは西向きなので、日が正面から当たるのは午後になります。日の出は見る分にはいいのですが、逆光になって写真を撮るとどうしてもシルエットになりがちですね。また日が高いうちは建物に影がつかないので、どうしても平面的に撮れてしまいます。午後も行くならちょっと遅いほうがいいでしょう。それでは、アンコールワットを思う存分、楽しんできて下さいね。