「小回りコース」のハイライトとなるタ・プローム

「世界遺産アンコール遺跡小回りコース」その1からの続きです。タ・ケウの先を道なりに右(南)に曲がっていくと、この小回りコースのハイライトである寺院遺跡「タ・プローム」に出ます。回廊で囲まれたこの寺院は、東西が約1km、南北が600mもあり、往時は多くの僧侶が住んでいました。この寺院を建立したのは、アンコール・トムの都城を建設した国王ジャヤヴァルマン7世で、王が手がけた最初の建築と言います。バイヨン同様、仏教寺院として建てられましたが、のちにヒンドゥー寺院になりました。中央祠堂の周りを2つの回廊が囲むというバイヨンなどと同じ造りで、メインの入り口は東塔門から。ただ、敷地内に多くの小祠堂があるのが特徴です。観光はゆっくりと、1時間以上は見てください。

木の根が遺跡を覆う「タ・プローム」。インパクト大なので、見逃せない 木の根が遺跡を覆う「タ・プローム」。インパクト大なので、見逃せない

巨木が寺院を呑み込む、自然の力を感じさせる場所

さて、なぜこの寺院が、ほとんどのアンコール遺跡観光ツアーで立ち寄るかと、ここに寄った人はすぐにその理由がわかるでしょう。他の公開されているアンコール遺跡がきちんと補修や修復されているのに対し、ここはまるでジャングルで発見されたばかりのよう。巨木が寺院の建物を覆っている場所が何か所もあるのです。これは「スポアン(榕樹)」と呼ばれるガジュマルの木の一種で、その根が建物にがっしりとつかむように絡んでいるのです。時が経つと、人が造ったものはこうして自然に還っていくのだなと感じさせる光景です。

ヒット映画のロケ地にも使われた場所

私もこの姿を最初に見たときには、言葉を失いました。修復された遺跡からは伝わらない、「時の経過」が刻まれていたからです。なかには、根の隙間からデヴァター(女神)の彫像が顔を覗かせているところもあります。このタ・プロームの遺跡を上手く使い、ロケ地として使ったのが映画『トゥームレイダー』です。あの映画で、この場所を知った方もいるのではないでしょうか。

沐浴池の前にある仏教寺院バンテアイ・クディ

さて、小回りコース、まだ続きます。タ・プローム東門から出て東に向かうと、まもなく「スラ・スラン」と呼ばれる王の沐浴池に出ますが、その前にジャヤヴァルマン7世がヒンドゥー寺院を改築して造った仏教寺院の「バンテアイ・クディ」があります。東西700m、南北500mの外壁に囲まれたこの寺院は、東の楼門がメインの入り口。そこから中央祠堂に向かっていくと「踊り子のテラス」と呼ばれている場所に出ます。この名前は、屋根を支えていた柱に、踊るアプサラ(天女)のレリーフがあるからでしょう。そこから塔門を通り、回廊に囲まれた中心部に進んでいくと、全部で9つの塔が見えてきます。中央祠堂付近には。デヴァター(女神)や、古代叙事詩『ラーマヤナ』を描いたレリーフもあるので見てくださいね。観光の所要時間は30分ほどです。(その3に続く)