プリヤ・カンは西塔門から回廊の内側へ

「世界遺産アンコール遺跡大回りコース」その1からの続きです。さて、車を降りてからプリヤ・カンの西塔門へと続く参道には、アンコールにある他の寺院同様、ヒンドゥー神話の一場面「乳海攪拌」をモチーフにした、ナーガ(ヘビ)を引く神々と阿修羅の欄干が左右に続いています。西塔門に着いたら、その門上の破風部分を見てみましょう。そこに描かれているのは、インドの古代叙事詩「ラーマヤナ」の一場面です。次に塔門を抜けて、回廊の内側に入ります。かつては聖池が東西南北に4つあったようですが、今では涸れてしまっています。往時には、この寺院には千人以上の僧侶が暮らしていました。今でも時折、現役の僧侶が祈祷を行っている姿を見かけることがあります。

世界遺産「アンコール遺跡」大回りコース その2 プリヤ・カンは仏教とヒンドゥー教の混合寺院 世界遺産「アンコール遺跡」大回りコース その2 プリヤ・カンは仏教とヒンドゥー教の混合寺院

中央祠堂を抜けて、踊り子のテラスへ

木の根が生き物のように寺院の屋根をつかんでいる姿というと、小回りコースにあるタ・プロームが有名ですが、このプリヤ・カンでも同じ光景が見られますので、探してみてください。中央祠堂へ向かうとシヴァ神を象徴するリンガが途中に、さらに進むと中央祠堂の中心にストゥーパ(仏塔)があります。中央祠堂と東塔門の間には、「踊り子のテラス」とも呼ばれている前柱廊があります。その名の由来は、見れば一目瞭然。天女でもあるアプサラスの踊る姿の浮彫り彫刻が、印象的だからです。

円柱と角柱が並ぶ二階建ての建物

前柱廊からそのまま東へ抜けることもできますが、先を急がずにその外に出てみましょう。その北側には他のアンコール遺跡ではあまり見ることのない、二階建ての列柱殿があります。ガイドブックでは「ギリシャ神殿風」とよく形容されていますが、それは一階部分に並ぶ円柱からでしょうね。アンコール遺跡に限らず、アジアでは円柱は珍しいかもしれません。二階部分は円柱ではなく角柱になっています。上がってみたいところですが、階段がないところから、かつては木造の階段(もしくはハシゴ)があったと思われます。建物は経蔵(書物保管庫)や僧侶の瞑想場に使われていたとも言われますが、用途はわかっていません。プリヤ・カンの見学所要時間は、1時間は見ておいたほうがいいでしょう。(その3に続く)