- 井伊 誠
- カンボジア在住。遺跡以外のカンボジアを旅する本トーマダーの発行人・編集人。王立プノンペン大学外国語研究所にてカンボジア語を学んだ後、人間の暮らしをテーマとして取材活動を開始。お気に入りはカンボジアの広々とした空、ちょっとしつこいカンボジア人のギャグ、バイクでカンボジアの田舎を駆け巡ること、酒の時間。
出発エリアをに変更しました。
手つかずの自然が残るラタナキリ州には、多くの滝がある
カンボジアの人口の約9割はクメール人(カンボジア人)だと言われていますが、北東部や東部を中心とする地域には、いわゆる「少数民族」と呼ばれる人々が独自の文化を守りながら暮らしています。例えば、カンボジア北東部に位置し、ラオス、ベトナムと国境を接するラタナキリ州(州名は「宝石の山」の意)は、州人口の約76%が少数派の人々だと言われています。豊かな自然が残るラタナキリ州では、平野部のカンボジアとは異なる風景や文化を目にすることができることから、白人のバックパッカーに密かな人気を集めている地域のひとつです。「少数民族」は、ラタナキリのほかにも、モンドルキリ州やクラチェ州などの山岳部で暮らしています。
トンプーン族の人々が聖なる場所と考えるヤックロム湖。約4000年前の火山活動によってできた火口湖で、周辺にはトンプーンの村が点在する
上記の地域で暮らす人々は、自然に精霊が宿ると考える精霊信仰の持ち主です。彼らは、森林を破壊せず、森林が再生可能な方法で農業を営みながら森林と共存する形で暮らしています。ラタナキリやモンドルキリの村では、そうした彼らが森の恵みを有効に活用しながら、美しい織物や民具を作っているのです。しかし、差別や偏見、インフラの未整備、言語の壁(カンボジアの公用語ではない独自の言語を母国語とする)など、さまざまな理由により少数派の人々は生活面で多くの困難に直面しています。
キリバットさんが経営するNortheast Cambodia Souvenir Shopは240番通りの西側に立つ
そんな人々の暮らしを手助けしようと、立ち上がった一人のカンボジア人女性がいます。プノンペンでNortheast Cambodia Souvenir Shopを経営するキリバットさんです。キリバットさんの店はノロドム通りと王宮に挟まれた240番通りにあります。この通りは、外国人をおもなターゲットにしたレストランやバー、雑貨店などが軒を連ね、ここ数年、在住者ばかりではなく旅行者にも人気のエリアとなっているところです。
プノン族やクルン族が鞄のようにして使う籠
「ラタナキリやモンドルキリの人々の手工芸品を販売することで、少数民族の人々に現金収入をもたらし、それが彼ら独自の文化を守ることにつながることを願っています」と話すキリバットさんの店では、「少数民族」の人々が制作した衣類や織物、民具、楽器などが販売されています。独自の柄の織物や生活の知恵が詰まった民具からは、森と共存する彼らの豊かな精神世界を感じとることができます。店内には、少数民族の人々の暮らしを紹介する書籍や、キリバットさん自らが撮影した写真で作ったポストカードも販売されています。240番通りでのお買い物や食事のついでにちょっと立ち寄り、カンボジアにあるクメール以外の世界に触れてみませんか。
■ノースイースト・カンボジア・ソーベニアショップ(Northeast Cambodia Souvenir Shop)
住所: #52 street 240, Sankat Chey Chumnesh,Khan Don Penh, Phnom Penh
営業時間:7:30〜20:00
定休:なし
電話:012-838350/012953702
アクセス:独立記念塔から徒歩約5分
商品例:クルン族の籠20ドル(約2300円)、クルン族の織物を使ったクッションカバー5ドル(575円)、トンプーン族の織物で作ったスカーフ2ドル(約230円)
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2007/11/15)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
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