- 井伊 誠
- カンボジア在住。遺跡以外のカンボジアを旅する本トーマダーの発行人・編集人。王立プノンペン大学外国語研究所にてカンボジア語を学んだ後、人間の暮らしをテーマとして取材活動を開始。お気に入りはカンボジアの広々とした空、ちょっとしつこいカンボジア人のギャグ、バイクでカンボジアの田舎を駆け巡ること、酒の時間。
出発エリアをに変更しました。
王宮のそばに立つコロニアル建築のひとつ。増改築や修繕を経て使われているものも多いが、この建物はほとんど使われていない
1863年からカンボジアは隣国のベトナム、ラオスとともにフランスの植民地支配を受け、1953年までフランスの支配を受け続けました。そのため、現在でも国の至る所で植民地時代の面影を見ることができます。例えば首都プノンペンの地図を見るとわかりますが、整然と道路が区画されたこの町並みは、フランス当局によって開発されたもので、その美しさから「東洋のパリ」と称えられたほどです。セントラルマーケットを中心にして、そこから放射状に伸びる道路沿いには、当時建てられたコロニアル建築がいくつも残っているのです。
ドーンペン地区に残る植民地時代の建物の内部。当時は近くにあった刑務所の官吏の住宅だったが、現在は一般住宅に転用されている
なかでも当時の建築物が最もよく残っているのが、フランス植民地時代にフランス人を中心とするヨーロッパ人の居住地域とされたドーンペン地区です。ここは、フランス当局によって最初に開発された地域で、西欧式の都市計画に基づいて町づくりが行なわれました。そのため、今でも多くのコロニアル建築が残っているのです。ドーンペン地区はプノンペン北東部に位置し、カンダール市場やオールドマーケット、ウナロム寺院などが立つ地域で、外国人旅行者が多く訪れるトンレサープ川沿いもこの地域に該当します。
現在は警察関係の役所に使われている建物
いくつか当時の建築物をご紹介しましょう。旅行者でもみつけやすいのが、プノンペン北部に立つワットプノン寺院のそばの中央郵便局や国立図書館、ラッフルズホテル(1929年創業)です。これらの建物は、増改築や修繕を重ねて現在も使われているのです。また、ノロドム通り沿いには多くの官公庁関係の建物が立ち並んでいますが、それらのほとんどはフランス植民地時代に建てられたものなのです。一方、カンダール市場周辺には、現在、一般住宅として利用されているコロニアル建築がたくさん残っています。フランスの香りの上に現代カンボジアの暮らしが重なり、魅力ある街区となっています。
こうした植民地時代の町並みを散策するのに役立つ書籍が、ノロドム通り沿いの書店モニュメントブックスなどで購入することができます。おすすめは多数の写真を使ってプノンペンを多角的に紹介している“Journey through Phnom Penh”です。英語で書かれた書籍ですが、写真を見るだけでも「プノンペン建築散歩」に多いに役立ちます。カメラを片手にプノンペンの過去と現在の両方を旅することのできる、コロニアル建築散策に出かけてみませんか?
■モニュメントブックス
住所:#111 Norodom Blvd, Phnom Penh
営業時間:7:30〜19:00
定休日:無休
電話:023-217617
ウェブサイト:http://www.monument-books.com/
メール:gm@monument-books.com(日本語不可)
備考:Journey through Phnom PenhのMonument Booksでの販売価格は16米ドル。
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2008/01/08)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
提供情報の真実性、合法性、安全性などについては、ご自身の責任において事前に確認して利用してください。
エイビーマガジンについて