- 井伊 誠
- カンボジア在住。遺跡以外のカンボジアを旅する本トーマダーの発行人・編集人。王立プノンペン大学外国語研究所にてカンボジア語を学んだ後、人間の暮らしをテーマとして取材活動を開始。お気に入りはカンボジアの広々とした空、ちょっとしつこいカンボジア人のギャグ、バイクでカンボジアの田舎を駆け巡ること、酒の時間。
出発エリアをに変更しました。
購入したサトウキビをシクロ(三輪自転車タクシー)に載せて自宅へ帰る人。カンボジア南東部のプレイベーン州にて撮影
カンボジアの人たちが広く親しんでいる飲み物として、以前、ココナツジュースをご紹介しました。今回はもうひとつ、自然の甘みがたっぷり詰まった国民的飲料について書いてみたいと思います。サトウキビを絞った天然のサトウキビジュースです。太陽と大地の恵みを受けてすくすくと育ったサトウキビは、砂糖の原料となるだけあって、豊富な糖分を含んでいます。遺跡観光などで疲れたとき、よく冷えたサトウキビジュースで一休みすれば、この糖分が疲労を癒してくれるのです。
絞り立てのサトウキビジュース。屋台でもグラスにたっぷり氷を入れ、ストローを添えて提供してくれる
サトウキビジュースは、カンボジア語でタックオンパウ(「サトウキビの水」の意)といい、平野部を中心とする地域で広く親しまれています。カンボジアの場合、サトウキビはメコン川やバサック川といった川沿いの地域で多く栽培されているからでしょうか。ジュースは路上や市場にあるサトウキビジュースの屋台で売られています。値段は500リエルから1000リエル(13円から26円)程度。注文すると屋台の人がナイフなどで表皮を剥いでから電動、または手動の搾り機に通し、ジュースにしてくれます。流し込むと濃厚な甘みが口の中いっぱいに! 思わず顔がほころぶ瞬間です。
サトウキビジュースの屋台。前面にサトウキビのイラストが描かれている(撮影:プノンペン)
ジュースの甘みはすべて天然の成分に由来するものなので、くどくなく、さわやかなところが好感度大! かつてプノンペンに住んでいた知人はこのさわやかな甘みの虜になってしまい、1日6杯も平らげたほど。サトウキビの含有糖分は雨季(一般に5月下旬から10月下旬)より乾季(11月上旬から5月中旬)のほうが多いとされます。ジュース自体は1年を通して飲むことができますが、サトウキビジュースの甘みに慣れていない多くの日本人にとっては、雨季のジュースのほうが飲みやすいかもしれません。
サトウキビの栽培地から仕入れられたサトウキビを路上で売る女性。サトウキビの収穫期になるとよく見られる光景だ。(撮影:プノンペン、カンダール市場付近)
さて、このサトウキビには、ジュース以外の楽しみ方もあります。表皮を剥き、一口サイズに切ったものをそのまま口に入れ、ガシガシと噛んで口のなかで汁を味わうのです。この「一口サトウキビ」も屋台で売られています。ガラスケースのなかに薄い黄色をした小さな円筒形のものがたくさん入っているのがそれです。ガシガシ噛んで汁を味わい尽くしたあとには、サトウキビの繊維が残るので、それは捨てましょう。ジュースは屋台で飲むのが一般的ですが、この「一口サトウキビ」は家庭でも親しまれている食べ方です。観光で汗を流したら、サトウキビジュースで水分補給し、旅の疲れを癒してみませんか?
■サトウキビジュース
販売場所:各地にある路上や市場の屋台。シェムリアプやプノンペンの市場ならたいていどこにでもある。
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2008/05/23)
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