- 井伊 誠
- カンボジア在住。遺跡以外のカンボジアを旅する本トーマダーの発行人・編集人。王立プノンペン大学外国語研究所にてカンボジア語を学んだ後、人間の暮らしをテーマとして取材活動を開始。お気に入りはカンボジアの広々とした空、ちょっとしつこいカンボジア人のギャグ、バイクでカンボジアの田舎を駆け巡ること、酒の時間。
出発エリアをに変更しました。
カンダール市場の鶏売場。毎日農村から出荷される鶏がここで捌かれて鶏肉となる。値段は1キロ1万5000リエル(約394円)ほど
首都プノンペンでの市場観光というと、カンボジア最大の市場である中央市場(セントラルマーケット)と、シルクや陶器、民芸品、骨董品のレプリカ、ゴザ製品、大理石の彫刻といったさまざまなお土産物がそろうトゥオルトンプーン市場(ロシアンマーケット)のふたつが人気ですが、プノンペンにはまだまだ魅惑的な市場がたくさんあります。そのうちのひとつが、王宮やウナロム寺院から近いカンダール市場です。ガイドブックではほとんど紹介されることのないこの市場を少々ご案内しましょう。
148番通り沿いにある生鮮食品売場。色鮮やかな食材が路上に並べられている
カンダール市場には、セントラルマーケットやロシアンマーケットのように外国人観光客を目当てにした「お土産物」は売られていませんが、その代わりに地元の生活感がたっぷり詰まっており、それを肌で感じることができるのが大きな魅力です。規模もさほど大きくなく、比較的こじんまりとまとまっているため、散策しやすいと言えるでしょう。カンダール市場は144番通り(street144)と154番通り(street154)の間に位置し、生鮮食品が並ぶ148番通り(street148)をほぼ中心として大きくふたつに分かれています。地元の食に興味のある方は、この148番通りを歩いてみましょう。季節の果物や野菜、香り高いハーブ、肉、卵などが並び、食材を買い求めに来た人々で賑わっています。
卵売場。鶏の卵に加えてアヒルの卵も一般的な食材として売られている
カンダール市場のほぼ中央部、148番通りの南側には、鶏売場があります。といっても、日本のスーパーのようにパック詰めされたものが売られているわけではなく、下処理されたものが丸ごと売られています。カンボジアでは鶏はスープの具にしたり、丸ごと焼いたりして食されています。こうした鶏は地方の農村で育てられたもので、毎日、おもにバイクに積まれて出荷されているのです。カンダール市場ではプレイベーン州やスバイリエン州、カンダール州などから運ばれてきた鶏が次々と捌かれ、「鶏肉」になっていく過程を見ることができます。
ビンロウとキンマの売場。計り売りされているので、必要な分だけ購入可能
もう少し進んでみましょう。緑色の植物の葉が高く積み上げられた売場は、ビンロウ売場です。ビンロウは軽い興奮・酩酊感のある嗜好品で、アジアで広く親しまれています。緑色の葉はキンマの葉で、この葉にビンロウヤシの種子「檳榔子」を細く切ったりすりつぶしたりしたものをくるみ、少量の石灰と一緒に噛むのです。カンボジアでは、地方に愛好者が多く、特に高齢の女性に親しまれているようです。市場の中も散策してみましょう。市場内は生活雑貨売場が所狭しと並んでいます。台所用品売場なんかを冷やかしてみると、この国の食文化の一端が見えるようでなかなか楽しめます。人々の暮らしが垣間見えるカンダール市場へ遊びに来てみませんか?
■カンダール市場
住所:Sangkat Phsar Kandal, Phnom Penh
アクセス:ウナロム寺院から徒歩2分程度。
営業:早朝から午後5時くらいまで(売場によって異なる)
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2008/07/31)
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