静かな恐怖が漂うトゥールスレン虐殺博物館でカンボジアの現代史を学ぼう

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静かな恐怖が漂うトゥールスレン虐殺博物館でカンボジアの現代史を学ぼう

掲載日:2008/12/04 テーマ:美術館・博物館 行き先: カンボジア / プノンペン ライター:井伊 誠

タグ: 博物館 歴史



ABガイド:井伊 誠

【カンボジアのABガイド】 井伊 誠
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カンボジア在住。遺跡以外のカンボジアを旅する本トーマダーの発行人・編集人。王立プノンペン大学外国語研究所にてカンボジア語を学んだ後、人間の暮らしをテーマとして取材活動を開始。お気に入りはカンボジアの広々とした空、ちょっとしつこいカンボジア人のギャグ、バイクでカンボジアの田舎を駆け巡ること、酒の時間。

A棟にある尋問部屋。「囚人」は部屋のなかにおかれたベッドに固定されて激しい拷問を受けた A棟にある尋問部屋。「囚人」は部屋のなかにおかれたベッドに固定されて激しい拷問を受けた

ポルポト時代に使われた尋問センター

カンボジアと聞いて、多くの旅行者がイメージするものはさまざまだと思いますが、そのなかには、悲劇の歴史であるポルポト時代もあることでしょう。ポルポト政権(民主カンプチア政府=1975年4月〜1979年1月)が断行した極端な共産主義により、カンボジアでは百万とも二百万とも言われる人々が命を落としました。ポルポト政権に従わない人々は「反革命分子」と見なされ、粛清の対象とされたのです。この粛清の場がカンボジア各地に存在する、いわゆる「キリングフィールド」と呼ばれる場所で、現在、博物館として公開されているトゥールスレンは当時、尋問(拷問)、処刑の場として利用されたところです。

 

レンガが積まれただけの簡素なつくりの独房。広さは畳1枚ちょっとくらいしかない レンガが積まれただけの簡素なつくりの独房。広さは畳1枚ちょっとくらいしかない

尋問室、独房、雑居房へと姿を変えた校舎

東西約600メートル、南北約400メートルの広さを持つトゥールスレンは、かつてトゥールスヴァイプレイと呼ばれる高校でしたが、ポルポト率いる民主カンプチア政府は、その校舎を転用して「反革命分子」を尋問する刑務所のような場所として利用したのです。ここに収容された人の数は一万数千人といわれ、そのうち生きて出ることができたのは、わずか6人だったと言われています。トゥールスレンは尋問室、独房、雑居房などで構成され、B棟には当時収容されたおびただしい数の人々の顔写真が、D棟には使用された拷問器具や拷問の様子を描いた絵、強制労働に従事させられる人々の写真などが静かに展示されています。

 

脱走を防ぐため建物やその周囲は有刺鉄線が張り巡らされている 脱走を防ぐため建物やその周囲は有刺鉄線が張り巡らされている

拷問器具や拷問の様子を描いた絵も展示

見学順路としては、入って左側のA棟から回ることになります。尋問室として利用されたA棟には、当時使われた金属パイプのベッドがぽつんと残され、壁にはそこで拷問された人の生々しい写真が貼られています。ベッドの上には鎖に繋がれた足かせがあるものの、ここでどのような拷問が行われたのかなどの解説は一切ありません。独房が残るC棟もレンガを積み上げた小さな区画が続き、その中に足かせや排泄のために使われた小さな金属の容器が残るだけ。この恐ろしいまでの静けさが逆に訪れる者の感情を恐怖で満たすのです。全体は高い塀や高圧電流を通した厚い鉄板、有刺鉄線で囲まれていたため、ここから逃亡することは不可能だったと言われています。

 

水攻めの拷問に使われた拷問器具 水攻めの拷問に使われた拷問器具

証言を記録したドキュメンタリー映画も上映

「静かな」展示に加え、D棟ではポルポト時代を生き抜いた人々の体験談を中心とするドキュメンタリー映画が上映されています。当時を知る上で貴重な映像資料です。加えて、ポルポト時代にまつわる人々の証言や各種資料の収集にあたっているカンボジア文書センター(Documentation Center of Cambodia)による企画展も随時行われています。また、入り口のチケット売り場で申し出れば英語ガイドを頼むこともできます。カンボジアが歩んだ悲劇の現代史を知るため、トゥールスレン博物館を訪れてみませんか?

 

トゥールスレン虐殺博物館のB棟。近年、整備が進み建物の壁もきれいに塗り直された トゥールスレン虐殺博物館のB棟。近年、整備が進み建物の壁もきれいに塗り直された

【関連情報】

■トゥールスレン虐殺博物館
住所:Street 113,Phnom Penh
アクセス:セントラルマーケットからバイクタクシー、トゥクトゥク、車などで10分から15分程度。
定休:無休
開館:7:00から17:30
電話:023-211875

 
 

※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2008/12/04)
※渡航前に必ず現地の安全情報をご確認下さい。http://www.anzen.mofa.go.jp/
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
 提供情報の真実性、合法性、安全性などについては、ご自身の責任において事前に確認して利用してください。
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