おいしそうな餅が集まった陝西省韓城

胡麻入りのも渦巻き状のもスコーン風のも全部食べてみたい! この気持ちは、初めて行った町のパン屋さんで、お手頃な値段で、おいしそうなパンをいっぱい見つけてしまった感じに似ています。2017年10月、陝西省韓城の旧市街を歩いていると、「餅(ビン)」と呼ばれる、小麦粉生地を焼いたパンが妙に目につきました。韓城は古都西安から汽車で約3時間の位置にある、小さな市です。中国を代表する歴史家、司馬遷の故郷として知られていますが、実際のところ、観光客が多いというほどではありません。西安中心部にあるイスラム教徒の回民街のように観光客が押し寄せるようなところなら、自然と名物料理が集まってきます。韓城ってそんな町ではないのに、妙に餅類の種類が多いのです。

韓城で食べた「五香餅」。五香粉入りでサクサクした食感 韓城で食べた「五香餅」。五香粉入りでサクサクした食感

田舎町なのに田舎っぽくない韓城の餅とは?

スターバックスコーヒーの三角形のスコーンの形をした餅の表面には、赤みがかった花椒の実がふられています。見た目は、日本のこじゃれたパン屋さんで売られていても不思議じゃない感じ。食べてみたい! 丸みを帯びた山の形をした餅は黒胡麻がアクセントになっていて、これもおいしそう! 旧市街の韓城古城で見かける餅って、どれも中国の他の町では見たことがない、ちょっとしゃれた感じがする餅です。韓城は、黄河を堺にして山西省と隣りあっています。郊外には黄土高原そのものの乾いた大地が広がっています。雨が少ないので、主食はもちろん小麦粉で作った麺や餅ですが、韓城の餅の種類の多さ、しゃれた感じは別格です。

名前は単に「三角餅」。気泡がたくさん入っているので、フランスパンのような食感。花椒入りなのでスパイシーな味 名前は単に「三角餅」。気泡がたくさん入っているので、フランスパンのような食感。花椒入りなのでスパイシーな味

超個人的考察! 河南省洛陽と韓城の食文化の違い

陝西省の東隣りの河南省の古都洛陽も餅類が豊富な町です。旧市街の老集に行くと、渦巻き状、長方形、丸形など見た目も食感も異なる餅類が売られています。個人的な意見ですが、中国の一番西にある新疆ウイグル自治区を除くと、洛陽が一番、餅の種類が多い町だと思っていました。韓城は、もしかしたら洛陽以上かもしれません。洛陽は「九朝の古都」と呼ばれるだけあって、東周、後漢、三国の魏、西晋、北魏などの中国歴代王朝の都でした。そのため、いくら大昔のことだと言っても洛陽は古都にふさわしく、今でも食の種類が豊富です。だから麺類、スープ類などの豊富さに分散されたのかもしれません。その点、この韓城は洛陽と比べ、陝西省の片田舎。だから食文化が花開いたというより、主食である餅類に集中したのでは?

名前は単に「餅」。表面はやや重い生地、中はしっとり。味がないので、どんな料理にもあう 名前は単に「餅」。表面はやや重い生地、中はしっとり。味がないので、どんな料理にもあう

韓城の餅を買うなら、ここに行こう!

韓城の見た目がちょっとおしゃれな餅は、韓城古城の城隍廟の美食街で売られています。美食街以外なら、古城南門あたりに地元の人向けの餅店が集中しています。観光客が多い町の美食街なら、餅に「宮廷〜(宮廷風)」など、いかにもっぽい名前をつけることも少なくありません。韓城人は、商売っ気がないのか、単に三角餅、胡麻餅、五香餅など、見た目そのままの名前です。この素朴さも韓城の魅力のひとつです。城隍廟の餅類は、どれも1〜2元(約17〜34円)。南門で買うと、城隍廟より少し安めです。粉もの好きなら韓城に行って、おもいっきり安くて美味しい餅を食べてみませんか!

韓城古城。観光客もいることはいるが、少な目。そのため、古城には趣が残っている 韓城古城。観光客もいることはいるが、少な目。そのため、古城には趣が残っている