明清代の古民家が完全な形で残っていると言われる村

中国西南部の雲南省の世界遺産「麗江古城」のように思いっきり商業化したところは苦手。同じ世界遺産でも山西省の「平遥古城」のようなところが好きです。商業化されていても、ちゃんと古城や古鎮の趣が残っています。何より今もそこに村人の生活の息吹があるというのが、ポイントが高い理由です。2017年10月に訪れた陝西省の韓城郊外にある「党家村(タンジャーツン)」は、古鎮の趣も村人の生活も見られるというパーフェクトなところでした。韓城は、陝西省の古都西安から鉄道で約3時間のところにあります。韓城中心部から約9キロ離れた党家村は、明清代の民居がほぼ完全な形で残っていると言われています。

高台から見た党家村の全景。私が訪れた2017年10月は、ちょうど映画祭が終わった後なので、一番景色がいい場所に邪魔な建物が建っていた。党家村へは韓城バスターミナルから下峪行きのバスに乗って約30分。108国道沿いの党家村口で降り、そこから徒歩約20分 高台から見た党家村の全景。私が訪れた2017年10月は、ちょうど映画祭が終わった後なので、一番景色がいい場所に邪魔な建物が建っていた。党家村へは韓城バスターミナルから下峪行きのバスに乗って約30分。108国道沿いの党家村口で降り、そこから徒歩約20分

党家村が「世界古民家の宝」と呼ばれる理由

「党家村」と言う名前を初めて知った時、「共産党の歴史に関係がある村かな?」と思っていました。これは間違い。村人のほとんどが「党」と「賈」姓なのです。互いに親戚関係にあり、党姓の人の名をとり、党家村と呼ばれています。党家村は、日本ではあまり知られていませんが、建築関係者の間では、かなり知られた村です。イギリスや日本をはじめとする世界の建築関係者から「東方人類文明の生きた化石」や「世界古民家の宝」と称されています。実際に行ってみると、保存状態がとにかくいい! 民居の造りや装飾が精緻! 明清代の四合院造りの民居とは思えないほど、整っています。

党家村の四合院は、どこも中庭がこじんまりしているのが特徴 党家村の四合院は、どこも中庭がこじんまりしているのが特徴

党家村を代表する二つの建物

党家村は、高台に隣接した低い位置に村があります。現在330戸、約1400人が暮らしています。高台から党家村を見おろすと、精巧な瓦屋根の物見やぐらの役割を果たしたに違いない高い塔が、目に飛び込んできます。れんが造りの三層の建てものは、その役割通り「看家楼」と呼ばれる見張り台です。村の防御施設ならもっと簡単な塔であってもいいはずですが、六角形や長方形の窓枠の装飾が非常にこじゃれています。もう一つの高い塔は、「文星閣」と呼ばれる風水塔です。6層6角形の文星閣は、高さ37.5メートル。清代の雍正3(1725)年に建設が始まったと言われています。

看家楼の窓枠は、見張り塔とは思えないほど風流な雰囲気 看家楼の窓枠は、見張り塔とは思えないほど風流な雰囲気

党家村が大きく繁栄した理由

これだけ立派な建物が残っていると、党家村が商業で栄えた古鎮だけではないことがわかります。今、家の前で特産の花椒を使ったお土産を売っている人たちは、普通のおばちゃんそのものですが、党家村は、明清代にあわせて49名もの科挙(官僚登用)試験合格者を出したところです。おばちゃんたちの祖先も、奥様と呼ばれていた可能性大。党家村は宮廷での成功だけでなく、金融業でも成功した村です。党家と賈家の繊細で豪華な民居は、殺伐とした黄土高原の中にある別世界です。海外の専門家から絶賛されるだけあって、党家村の明清代の古民居の保存状態は抜群でした。中国の建築好きなら党家村に行ってみませんか?

柱の台石の装飾も見事。ちょっとした場所にものすごくお金がかかった装飾が見られる 柱の台石の装飾も見事。ちょっとした場所にものすごくお金がかかった装飾が見られる