旧市街で出くわす「泰山石敢当」とは?

中国の旧市街を歩いていると、時々目にする謎の石碑。「泰山石敢当」と彫られています。泰山と言えば、中国北部の山東省の世界遺産「泰山」です。五岳と言われる中国の名山の中でも最も格が高く、皇帝が即位した時に天に向かって儀式を行うことで知られています。でも、私が、泰山石敢当と彫られた石碑を目にしたのは、広州市内の三元里と水墨画の世界で知られる桂林に近い大墟古鎮です。泰山からは遠く離れているのになぜ、ここで? 泰山の石には、スピリチュアルな力が宿っていると信じられているに違いありません。とは、言っても私が泰山石敢当を見つけた場所は、泰山から石を取り寄せるような大金持ちが住んでいるようには、見えなかったのですけど。

中国西南部の広西壮族自治区桂林市に近い大墟古鎮で見つけた泰山石敢当 中国西南部の広西壮族自治区桂林市に近い大墟古鎮で見つけた泰山石敢当

「泰山石敢当」の「泰山」とは、あの泰山?

「泰山石敢当」について調べてみました。泰山石敢当は、中国だけではなく、沖縄や鹿児島を中心に日本まで広まっている魔除けの一種です。中国でも日本でも十字路や三叉路にあることが多いと言われています。中国では、凶とされる方角に置くこともあります。気になる「泰山」ですが、それがよくわかりません。泰山に石敢当と呼ばれる猛者が住んでいて、妖怪を追い払ってくれたという説もあります。石敢当は、五代十国(907~979)時代の兵士説、釣りの名人で知られる太公望説など、いろいろです。初めて「石敢当」の文字が史書に現れたのは、前漢の史游が紀元前48〜紀元前33年に書いた「急就章」です。あまりに古く、伝わっている地域も広すぎるため、説も多すぎました。要は、中国人にとって特別な山である泰山のパワーを借りようってことなんでしょう。

泰山石敢当の形とは?

さて、泰山石敢当には、様々な形があります。上部に獅子が彫られた石碑、大小さまざまな戦士の石像、装飾の全くない石柱などなど。私が見たことがあるのは、飾りのない石柱と上部に獅子が彫られた石碑の2タイプです。広州の三元里では、門楼と呼ばれる古鎮の玄関の建物の中で見つけました。単なる石柱タイプでしたが、隣に兵士らしき人間を彫った石像がありました。これがあると、悪い方角から魔が侵入するのを、防いでいるという感じが強く感じられます。とにかく泰山石敢当には、決まった形はないみたいです。

広州市の三元里の門楼の中にあった泰山石敢当 広州市の三元里の門楼の中にあった泰山石敢当

日本でも見られる泰山石敢当

さて、沖縄や鹿児島では、泰山石敢当は、「石敢當」と彫られていることが多く、壁に石碑を埋め込んだタイプのものがよく見られます。中には、日本らしく石灯籠に石敢當と彫り込んだものもありました。ネットでこの石灯籠型のものを確認すると、妙に新しい。泰山石敢当って、何百年も前に作られた過去のものだと思っていたら、現在でも作られていることが判明。日本でも少しずつ増えています。中国では「陶宝(タオパオ)」と言うショッピングサイトでも売られているほど、身近なものです。それぐらい泰山石敢当が持つスピリチュアルな力が、中国人に信じられているということかもしれません。中国の旧市街を歩く時は、注意してみませんか? 路地の入り口や三叉路で突然、泰山石敢当が現れるかもしれませんよ!