20数年前、外国人が中国で最初に覚える中国語

20数年前、中国を旅行すると、最初に外国人が覚える中国語は「没有(メイヨー)」でした。没有は「ない」って意味です。ツアーに参加せずに個人で中国を旅行するのは本当に大変でした。その最大の原因が「没有」です。お客がたくさんくると、従業員の仕事がふえます。社会主義なので、忙しかろうが暇だろうが給料は同じです。じゃ、仕事は楽なほうがいいに決まってます。だからホテルに行くと、部屋はあっても「没有」です。国営商店で買い物をしようとすると、従業員は同僚とおしゃべり中です。「これください」とお客が商品を指さしても、同僚とのおしゃべりを優先するために、答えは「没有」です。当時、中国を旅するってことは理不尽な没有と戦うことでした。

お宿はよりどりみどり! 欧米人旅行者の聖地「陽朔」 お宿はよりどりみどり! 欧米人旅行者の聖地「陽朔」

陽朔が中国の他の町とは違うところ

こんな中国事情を皮肉った「没有カフェ」ができたのは陽朔です。陽朔は中国南部の広西壮族自治区にあります。日本人が好きな山水画の世界がみられる桂林からバスで約1時間30分のところです。20数年前から陽朔は、他の中国の地方には見られない自由な雰囲気が漂ってました。中国では今も外国人は自由に宿を選ぶことはできません。外国人は政府の認定を受けた宿にしか泊まれません。20年以上前、中国にはユースホステルはなく、外国人は高級ホテルを除けば、安ホテルか招待所と呼ばれる安い宿泊施設に泊まるしかなかったのです。それが陽朔に行くと、ゲストハウスや自称ユースホステルがいくつもありました。

陽朔らしい素敵なネーミングの安宿

古いアパートの部屋を安宿にしただけなのに「陽朔シャングリラ」、「陽朔ホリデイイン」など、ネーミングもおもしろく、宿はよりどりみどりでした。山水画のど真ん中にいるような陽朔の旧市街にはカフェやゲストハウスが数多くできました。レンタサイクル屋さんもあります。山水画のような風景の町をサイクリングし、宿で「没有」と言われることもなく、しかも宿代も安い。自由な雰囲気が漂う陽朔は欧米人バックパッカーの聖地のようになっていきました。

今も旅行者に陽朔が人気がある訳

陽朔は今も欧米人旅行者に人気が高い町です。以前にも増して、ゲストハウスやユースホステルが増え、カフェもできました。小さな旧市街のどこからでも、小高い丘と言ってもいいような緑の山が見えます。郊外に行けば、カルスト地形と川が織りなす桃源郷を思わせる風景を楽しめます。旅行者は田園風景の中をサイクリングしたり、川をいかだで下ったりして、自然を楽しみます。旧市街のカフェでのんびり過ごすのもいいですね。今は中国人観光客が圧倒的に増えました。もう欧米人旅行者の聖地とは言えませんが、陽朔は、今でも旅行者が求めているものがそろった観光地です。