雲南省紅河県にある中国らしからぬ、不思議な建物

高台にそびえたつ石造のお城のような建物の写真を見たとき、「これは、本当に中国の風景?」、「こんなところが中国にあるの?」とびっくりでした。その建物は、何百年もの歴史があるようには見えませんが、テーマパークでもない感じです。中国の建物にお城という表現は、どこかヨーロッパ風でふさわしくない気がします。でも、中国の豪商の邸宅とも紫禁城とも建築様式が全く違っているので、お城としか言いようがないのです。装飾がほとんどないまっすぐな建物なので要塞と言ってもいいかもしれません。2018年6月下旬に、この写真の場所に行って来ました。そこは雲南省南部の紅河県にある「馬幇古城(マーバングーチェン)」です。

紅河県旧市街の入り口にたつ「馬幇古城」 紅河県旧市街の入り口にたつ「馬幇古城」

紅河ハニ族イ族自治州の紅河県とは?

紅河県は、中国西南部に位置する雲南省南部の紅河ハニ族イ族自治州の一番西にあります。紅河県なので紅河ハニ族イ族自治州の州政府所在地と勘違いしそうですが、違います。紅河ハニ族イ族自治州の州政府があるのは、州の東部にある蒙自です。紅河は、世界遺産にも登録されたハニ族の棚田がある元陽からバスで1時間ほどの小さな県です。この紅河県の旧市街の入り口になっている丘の上にそびえたっているのが、馬幇古城です。建水から乗って来たバスを紅河バスターミナルでおり、「馬幇古城1キロ」と書かれた道路標識にそって、坂道を登っていくと見えてきました。

紅河ハニ族イ族自治州は、ハニ族やイ族だけでなく、ヤオ、タイ、苗族などの少数民族も住んでいる。こんな帽子をかぶったヤオ族らしき女性も見かけた 紅河ハニ族イ族自治州は、ハニ族やイ族だけでなく、ヤオ、タイ、苗族などの少数民族も住んでいる。こんな帽子をかぶったヤオ族らしき女性も見かけた

雲南省と深い関係がある馬幇

馬幇古城は、近くで見れば見るほど、全く中国らしくなく、中世ヨーロッパのお城のような雰囲気がする建物です。「馬幇(マーバン)」とは、馬の背に荷物をのせて運んだ輸送方式のことで英語で言うなら、キャラバン隊です。雲南省は、キャラバン隊がお茶や塩などを運んだ「茶馬古道」で知られるように、馬幇が盛んなところでした。清代末期になると、馬幇は、ベトナム、ラオス、ミャンマーにまで出かけるようになっていました。中国で生産した日用品を持って行き、綿花、象牙、漢方薬の原料となる鹿の角やきのこを持って帰ってきました。そのキャラバン隊で東南アジアで儲けた人たちが、20世紀の30、40年代に続々と戻って来て、故郷に錦を飾りました。それが馬幇古城です。

紅河旧市街には、こんな西洋と中国がミックスされた建物が残っている 紅河旧市街には、こんな西洋と中国がミックスされた建物が残っている

馬幇古城で知った驚愕の事実

馬幇古城は、別名「東門楼」とも呼ばれています。古城の正面に貼られたプレートを見ると、「全国重点文物保護単位」の文字が目に飛び込んできました。これは雲南省や紅河ハニ族自治州のではなく、国家の重要文化財として認められたということです。と言っても、馬幇古城の建設が始まったのは、1937年。完成したのは1944年です。中国の悠久の歴史を思えば、最近です。また、中国人なら誰でも知っているような人物が住んでいたわけでもありません。そんな建物が、国家の重点文化財に認められるなんて、あり得ない。それぐらい馬幇古城には、歴史的価値があると言えます。では、馬幇古城に入ってみましょう!(2に続く)

馬幇古城は、イギリスとフランスの装飾を取り入れたと言われているが、装飾はほとんどない 馬幇古城は、イギリスとフランスの装飾を取り入れたと言われているが、装飾はほとんどない