博物館の看板はあるけれど、そこには生活があった!

「一応、ここは博物館ってことになっているので、入りま〜す」と、どこか悪いなあと思いつつ、お屋敷の中に入っていきます。清代に建てられたと思われる古いお屋敷です。ボロボロですが、浮彫の戸や欄干の装飾が精巧で、そこに歴史を感じます。このお屋敷には普通に人が生活しています。私がお邪魔させてもらった時も、この家のお嫁さんらしき若い女性がバケツにお湯を入れ、しめたばかりの鶏の毛をむしっていました。ここは中国西南部にある雲南省の紅河ハニ族イ族自治州の建水です。ベトナム国境と接している紅河ハニ族イ族自治州は温暖で、2月でも温かい日は薄い長袖シャツ1枚ですごせるところです。

人が住んでいる博物館! 雲南省建水の団山村に行ってみよう! 人が住んでいる博物館! 雲南省建水の団山村に行ってみよう!

雲南省建水の団山村の歴史

建水から西に13キロ離れた瀘江河沿いにある団山村には、清代末期に建てられたお屋敷が数多く残っています。そのため「建水の古民居博物館」と呼ばれています。約600年前の明の洪武年間に、江西省から張姓の人たちが移民としてやってきたのが団山村の始まりです。張氏は清代に錫鉱山の開発や錫の売買に成功し、巨万の富を築いたことで知られています。その富が注ぎ込んだ「張氏花園」と呼ばれるお屋敷が残っているのが、この団山村です。

人が住んでいる博物館にお邪魔してみました!

団山村のお屋敷には、大きな石を積み上げた門柱や見事な彫りの扉が残っており、当時の建築技術の高さが伝わってきます。古民家の中には「司馬博物館」などど、看板があがっている家もあります。団山村の入場料は60元(約1040円)。入場券さえあれば、村の中を自由に見学できます。博物館の札がかかっている家なら、中に入って見てもいいのです。しかし説明もなく、ただ「博物館」の看板が上がっているだけです。お屋敷の中庭に入ると、家の人にジロッと一瞥されることもあります。その後は全く、いないかの如く、無視されたままなので、勝手にあいている部屋を窓からのぞきこみます。

村人はシャイ?それとも全く気にしてない?

村には壁の外側のれんが剥がれ落ち、土壁がむき出しになっている家もあります。その古い壁の向こうに鮮やかな緑のシュロやバナナの木が見えます。都会とはまったく違う、のんびりとした時間が流れているみたいです。村の道を歩いていると、村人は観光客に慣れているのか?遠くから見ている感じです。家の中を見学させてもらっても、観光客は空気として扱われます。まるでいないかのように、村人の生活は滞りなく進んでいきます。団山村はまさに「人が住んでいる古民居博物館」です。気を使わずに見学するのは、なかなか難しいですが、中国建築と東南アジア的風景が融合された団山村は必見です。