あまり知られていない中国のワイン

世界の代表的なワインの産出国は?と聞かれて、ヨーロッパやアメリカ、オーストラリア、南米などを思い浮かべる人が多いと思います。ところが中国も、世界有数のワイン生産国だと知っていましたか?国際ブドウ・ブドウ酒機構(OIV)の統計によると、2009年時点での中国のワイン生産量は128万キロリットルで、オーストラリアやチリを抜く世界第5位。国土が広く人口が多いことも理由でしょうが、中国国内でのワインの消費量も増加傾向にあるようです。

世界有数の生産量を誇る中国のワイン。産地を訪れたらぜひ試してみて 世界有数の生産量を誇る中国のワイン。産地を訪れたらぜひ試してみて

なんと古代中国でもワインが飲まれていた

中国のワインは、いったいいつ頃から飲まれていたのでしょうか。つい最近の流行のようにも思えますが、意外にもその歴史は古く、前漢の使者、張騫が西アジアを訪れた際、ワインの醸造技術が中国に伝えられたといいます。実際に紀元前後の歴史資料にワインに関する記述が多数見られ、墳墓からはワインを入れた壺も発掘されています。その後、時代を経るにしたがってブドウ栽培は盛んになり、唐や元の時代には多数のワイン醸造所が存在していたそうです。しかし清代に入ると、戦乱や国の弱体化のため、歴史的なワイン産業は完全に廃れてしまいました。

山東省煙台の張裕ワイン

近代中国におけるワイン生産の幕開けは、1892年に中国東部の山東省煙台で創業した「張裕ワイン」が、ヨーロッパからブドウの木を輸入してワイン作りを始めたことでした。以降、戦争によるたび重なる中断を経つつも、山東省はワインの産地として発展を続け、現在も中国ワインのほぼ半分がここで生産されています。張裕ワインは今も中国最大のワインメーカーで、創立100周年を記念して煙台には「張裕酒文化博物館」が建てられ、会社の歩みとワインの資料を展示しています。

雲南省弥勒県の雲南ワイン

中国のワインの産地として知られるもうひとつの場所が、雲南省の弥勒県。標高1500メートル前後の土地にブドウ畑が広がり、ワイン工場も多くあります。この一帯のブドウは、フランスの宣教師が今から約200年前に持ち込んだ品種ですが、本国フランスでは害虫により絶滅してしまったものだそうです。1997年に発売された「雲南紅」は、北京での国賓をもてなすパーティーでも使われているそうです。このほか、中国西部の新疆ウイグル自治区でも、ブドウ栽培が盛んに行なわれ、いくつものワイン工場が存在します。中国を訪れたら、ビールや白酒だけではなく、その地域で生産されるワインも味わってみてはいかがでしょうか。