- 原口純子
- 1993年より北京在住。日本の雑誌、新聞、WEBを中心に中国のライフスタイル関連の記事、書籍を執筆。作品に『おどる!中国人』『北京上海 小さな街物語』『歳時記 中国雑貨』など。書籍編集も手がけ編書に『在中日本人108人の それでも私たちが中国に住む理由』『知日 なぜ中国人は、日本が好きなのか!』など。
出発エリアをに変更しました。
小さな食堂から一大レストランまで、さまざまな規模のピリカラ料理レストランが並ぶ「東直門内大街」
乾燥した気候の北京ですが、今年は例年になく、雨が多く、蒸し暑い日々が続いています。なんだかすっきりしない日々、体にたまった湿気を吹き飛ばし、食欲を増進させてくれるのが、スパイスをたくさんつかったピリカラの料理。
地下鉄「東直門駅」を出てすぐの「東直門内大街」は、そんなピリカラ料理のレストランがずらりと並ぶ北京の名物グルメ通り。駅を下りただけで、とうがらしやサンショウのスパイシーな香りがどことなく漂ってきて、ピリカラ好きにはたまらないはず。
赤いぼんぼりを飾りにつけた店が多く、夜は撮影ポイントとしてもきれいです
ピリカラ料理のレストランが100軒ちかくも連なるこの通り、昼間もにぎやかですが、真骨頂は夜。夕方6時すぎから大混雑がはじまり、8時ころはピーク、深夜すぎても大勢のお客でにぎわっています。この通り、別名は「鬼街」と呼ばれています。「鬼」(=グィ)は中国語では、「幽霊」のこと。つまり深夜すぎても人がうろうろしているから、こんな名前で呼ばれているんですね。この通りは夜になると赤いぼんぼりをつける店が多く、写真的にもきれいです。
中国のピリカラ料理、ときいて、頭にすぐ浮かぶのは四川料理でしょうか。でも、中国にはこのほかにもピリカラ料理を食べるエリアは、重慶、湖南、貴州、など南部を中心にたくさんあります。たとえば、重慶はとうがらしタレでたべる辛い鍋の「火鍋」。湖南は、細かく切った赤と青のとうがらしを魚の頭にかけて蒸す「魚頭」系の料理が名物。貴州は、「酸湯魚」といって、とうがらしに、発酵させたもち米のとぎ汁を加えた酸味と辛味のハーモニーが楽しめる鍋が有名。こうした伝統料理のほかに、いまとなってはどこが発祥の地か分からないのですが、ザリガニをピリカラソースで炒め煮にする「麻辣小龍」も名物料理になっています。
今年はやりのピリカラ料理は、ピリカラソースでやいた魚。これで約70元(約1000円)
こうしたピリカラ料理、実は、全国から北京にやってくるでかせぎの人々と一緒に北京に上陸したもの。とうがらしをよく食べるエリアの人たちは、「食事に辛いものがないとのどを通らない」とよくいうほど、ピリカラが食事のマストアイテム。彼らが北京に数百万人も住むようになり、自分でレストランを開き、そこに同郷の人が集まり、北京の人々も注目し…という流れで、ピリカラ料理がいまや北京の大人気になっているのです。ピリカラ料理、毎年のように流行があって、今年は、独特の器の上で焼いたピリカラ魚料理が人気。新しい料理を探しに、私もよくでかけるこのストリート、食文化に興味のある人にぜひおすすめ。中国全国を旅した気分になれる首都ならではのポイントです。
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2007/08/13)
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