おしゃれなエリアのどの店よりも行列ができる地味な店

北京の南鑼鼓巷と言えば、胡同と呼ばれる四合院造りの伝統家屋が並ぶ、路地におしゃれなカフェや雑貨屋さんが集まったところです。北京五輪以降、国内外の観光客を集めるようになりました。週末になると南鑼鼓巷の北京風牛乳プリン、チュロス、臭豆腐屋の前には買い求める観光客の列ができるようになりました。こんな南鑼鼓巷のすぐ北側に、南鑼鼓巷のどの店よりも長い長い行列ができる、あか抜けない店があります。並んでいるのは地元の人たちで、その列はしかも毎日なのです。

北京っ子が弱いのは行列?それとも有名? 北京っ子が弱いのは行列?それとも有名?

中国の主食、饅頭ってどんな味?

そこは「山東嗆(ザン)面饅頭」という饅頭屋さんです。中国では饅頭は生地がぎっしりつまった蒸しパンのようなもので、中国北方の主食です。広州や上海でも買えますが、生地がスカスカの南方の饅頭に比べ、粉そのものの味が生きた北方の饅頭のほうがおいしいのです。「山東嗆麺饅頭」の店の前にはこの2、3年いつ行っても店の前だけでなく、隣の隣の店の前まで列ができています。中国の検索サイトに「鼓楼東大街、饅頭」と入れるとすぐ出てくる北京の有名店になっていました。私も並びたいところですが、手作り饅頭の店だけに蒸すのにも時間がかかるので、並べませんでした。

氷点下の寒空の下で3時間以上並ぶ

2013年の旧正月の大みそかの日、山東嗆面饅頭店の前には、かつて見たことがないほど長い行列ができていました。この日だけ24時間営業で、ひとり限定50個までで売っていました。氷点下のこの寒空の下で3時間以上並ぶことは確実です。それでも食べたいぐらいおいしい饅頭ってどんな味なんだろう。並んでいる4名ほどの中国人に聞いてみました。「いやあ、食べたことないんだよ。今日、初めて食べるんだ」、「私も食べたことないの。このお店は本当に有名だから食べてみたくて」と、4人とも全く同じ答えでした。

北京っ子が弱いのは行列?それとも有名?

北京っ子は行列に弱いといおうか、有名店に弱いといおうか・・。その後、この店の饅頭を食べたことがある北京人が「もちろんおいしいよ。でもそんなに特別な味じゃないよ。今の北京にはあの店のように目の前で作って蒸してくれる饅頭屋さんが珍しいんだよ。だからみんな並ぶのさ」と教えてくれました。「山東嗆面饅頭」屋のお正月休みあけ、前を通ると、並んでいる人がわずか10人ほどでした。やっと私も食べることができました。感想は「今まで食べた饅頭の中で一番生地がしっかりして、粉そのもの味だけでおいしい」でした。もちろん、また、食べたいですが、並んでいる人がほとんどいない日に巡り合えるか日はいったいいつのことやら。