いつのまにか日本人ファンが増えていた北京の名物料理

「え〜っ! あの料理を好きな日本人がこんなにいたなんて!」と、最近、驚いてしまいました。たまたまネットでその料理について検索していると、「モツ煮込みがおいしかった!」という感想が続々とでてきました。グロテスクな感じの料理なので、日本人には人気がないかもと思っていたのが、間違いでした。それは、北京の名物料理の「鹵煮火焼(ルージューフオシャオ)」です。「火焼(フオシャオ)」とは、北京や河北省では「餅(ビン)」のことです。中国では「餅」は、日本とは違い、小麦粉で作った粉ものをさします。

人気の「姚記炒肝」の鹵煮火焼。にんにくや生姜がきいたおしょうゆ味なので、見た目さえ気にしなければ日本人の口にもあう 人気の「姚記炒肝」の鹵煮火焼。にんにくや生姜がきいたおしょうゆ味なので、見た目さえ気にしなければ日本人の口にもあう

実は、北京の名物はとっても多かった!

北京の名物料理と言えば、まずは北京ダックや羊のしゃぶしゃぶあたりが一番有名です。実は、北京って、ものすごく名物の多いところです。旅行者に知られていないだけで、料理とは言えないような粉ものなどに名物がたくさんあります。小麦粉生地をカリカリに揚げた「焦圏(ジャオチュエン)」、ゴマペーストを混ぜ込んだ生地を焼いた「糖火焼(タンフオシャオ)」、にんにくと醤油がきいたとろみスープの「炒肝(チャオガン)」などなど。「鹵煮火焼」もそんな意外と知られていない北京名物料理のひとつです。もしかしたら北京以外の中国人で知っている人は、少ないかもしれません。

北京の名物料理を出す清真食堂では食べられない料理

北京の名物点心の多くは、回族と呼ばれるイスラム教徒の「清真食堂」で食べられます。「清真食堂」とは、ムスリム食堂のことです。清朝の時代、回族は差別されており、ぼてふりや屋台で食べ物を売る小さな仕事をしていた人が多かったと言われています。その中で評判になった人が開いた食堂が、現在、北京中心部に何軒も支店がある「白魁老飯荘」などの清真食堂です。清真食堂に行けば、北京の名物点心の多くを食べられますが、「鹵煮火焼」はそこでは食べられません。豚の臓物を煮込んだ漢民族の料理なのです。

日本人が鹵煮火焼を好きになった理由

鹵煮火焼は、普通は専門店で食べる料理です。有名なのは「姚記炒肝(東城区鼓楼東大街鼓楼湾胡同72号)」です。まず、豚の胃や腸、肝を酒、ニンニク、八角、肉桂、丁香などの様々な香辛料と一緒に煮込みます。そこに火焼を切ったものを入れます。スープをすって、ぶよっと膨れあがった火焼入りの臓物煮込みは、見た目は微妙です。いかにも残りもの料理的っぽく、臓物ばかりなので大丈夫かしら?と心配になります。それゆえ日本人はあまり食べないだろうと思っていたら、「鹵煮火焼」をモツ煮込みと呼んで、北京で食べまわっているようなのです。確かに鹵煮火焼は、モツ煮込みです。こう呼ぶと、食べたくなります。

鼓楼東大街の「姚記炒肝」は、いつも大行列の人気店。鹵煮火焼は、中年より年代が上の北京ッ子に人気がある懐かしの料理かもしれません 鼓楼東大街の「姚記炒肝」は、いつも大行列の人気店。鹵煮火焼は、中年より年代が上の北京ッ子に人気がある懐かしの料理かもしれません