北京名物「門釘肉餅」とは、いったいどんな料理?

こんがりきつね色に焼けた生地を一口かじると、熱々の肉汁ジュワー。けっこう脂っこいけど、おいしい! こってり感がまさに大陸の味! この肉汁たっぷりのお焼きが、北京名物の「門釘肉餅(メンディンロウビン)」です。中国では小麦粉生地をのばして焼いたものを「餅(ビン)」や「火焼(フオシャオ)」と言います。門釘肉餅は、その名前の通り、門の釘に似ています。釘と言っても、細くて鋭い先の部分ではなくて頭の部分です。数々の王朝が都をおいた北京には、故宮をはじめ、皇族の屋敷、寺院や廟などの立派な建築物は数知れません。その門には、頭の部分がこんもり丸くなっている門釘が打ち付けられています。門釘肉餅は、この門釘の頭を連想させる形をしています。

門釘肉餅は、酢、ラー油をかけて食べるとおいしい 門釘肉餅は、酢、ラー油をかけて食べるとおいしい

北京の建築物で見られる門釘が表しているもの

余談ですが、門釘は、鉄板を打ち付けたり、装飾の役目を果たしているだけでなく、そこに住んでいる人の身分も表しています。例えば紫禁城の大門は、皇帝が出入りする門です。縦横9列の81個もの門釘が打たれています。9はこれ以上に上はないという数字なので、皇帝を意味しているそうです。王、公候など、身分が下がるごとに縦9列横7列、縦横ともに7列など釘の数が減っていきます。この門釘肉餅の歴史は、意外と浅く、日本の歴史教科書にも登場する清朝末期の西太后がからんでいます。

故宮の門釘。実際のところ門釘肉餅は、ここまで盛り上がっていませんが、焼いている時は、こんもり盛り上がっているのかもしれません 故宮の門釘。実際のところ門釘肉餅は、ここまで盛り上がっていませんが、焼いている時は、こんもり盛り上がっているのかもしれません

門釘肉餅のはじまりは、やはりあの人物が関係していた!

西太后は、中国では慈禧太后と呼ばれることが多く、とにかく食いしん坊で有名な人物です。高級な宮廷料理から庶民のおやつまでおいしいものなら、何でもトライしてみる人だったそうです。そのため慈禧太后の食にまつわる話は、数多く残っており、門釘肉餅もそのひとつです。ある時、慈禧太后の御膳所の料理人が、太后のために特別に牛肉とネギの餡が入った肉餅を作りました。慈禧太后は、大変気に入り、料理人に肉餅の名前を尋ねたそうです。名前なんて考えていなかった料理人は、とっさに形が似ている門釘が頭に浮かび、「門釘肉餅です」と答えたのが始まりだとされています。

北京で門釘肉餅を食べられる食堂

この門釘肉餅は、牛肉とネギの餡が特徴です。北京には、イスラム教徒の回族が経営する「護国寺小吃店」や「白魁老号飯荘」など、北京の粉ものを中心とした軽食が食べられる食堂があります。豚肉を食べないイスラム食堂の定番メニューでもあり、豚肉が使われることはありません。ぷっくり厚い小麦粉生地に包まれた牛肉とネギの餡は重い食感ですが、寒い季節に熱々を食べると、本当においしい。こってり脂っこいので必ず熱々のうちに食べきるのが鉄則です。そうしないと牛の脂が固まってしまい、味が落ちてしまいます。丸い形の牛肉入り焼き餃子のような門釘肉餅は、日本人もはまる味ですよ。今度、北京に行ったら、イスラム食堂で門釘肉餅を食べてみませんか!

白魁老号飯荘(東城区隆福寺前町1号)は、北京名物の小吃が食べられる人気店 白魁老号飯荘(東城区隆福寺前町1号)は、北京名物の小吃が食べられる人気店