急においしく、繊細になった中国のケーキ

中国を旅行中、無性にケーキやシュークリームを食べたくなる時ってないですか? 大陸の旅はパワーを使うので、繊細なお菓子、日本で食べているようなスイーツを食べたくなります。2000年代前半頃まで北京や上海などの大都市でしか、日本人にもおいしいスイーツは、見つけられませんでした。今なら北京や上海以外の都市でも簡単に見つかります。北京なら「味多美」や「好利来」などのチェーンのベーカリーでスイーツを売っています。中国のケーキと言えば、見た目も昔っぽく、味のほうも繊細さに欠けていました。それが今は、見違えるほど見た目も味もいいんですよ。そのかわりお値段は上がり、日本と同じぐらいかそれ以上するところもあり、お得感はなくなりました。

今、中国でこんなスイーツは、どこでも売っています。そのかわりお値段は、ほぼ日本なみ 今、中国でこんなスイーツは、どこでも売っています。そのかわりお値段は、ほぼ日本なみ

中国では、ミルフィーユは昔からある人気のお菓子

中国で昔からあるケーキと言えば、ミルフィーユです。90年代前半の上海はもちろん、西の端に近く、中国では遅れていると言われる青海省の省都、西寧ですらありました。レベルアップとともに急激に値上がりしたケーキ類は、ムースなどの新参者です。その点、ミルフィーユは、私が知る限り90年代からある分、値上がり幅も小さく、かなりお得。パリパリのパイ生地と言うより、わずかにしっとり感を感じる生地もいけます。その生地に生クリームを挟んだミルフィーユは、ボリュームたっぷりで素朴なおいしさです。パイ好きの私は、見つけると、買ってしまうのですが、中国ではミルフィーユと呼ぶお店は、ありません。どこでも「拿破侖(ナポールン)」と呼びます。

10年ぐらい前に上海の小さなお菓子屋さんで買ったミルフィーユ。中国のパイ類は、はずれなしです 10年ぐらい前に上海の小さなお菓子屋さんで買ったミルフィーユ。中国のパイ類は、はずれなしです

ミルフィーユを中国風の名前で呼ぶとどうなる?

「拿破侖」って、あのナポレオンのことです。中国では、沿岸部の大都市でも内陸部の小さな町でもミルフィーユのことを拿破侖と呼びます。ミルフィーユは、フランス生まれのお菓子なので、フランスの英雄の名前がついていても変では、ありません。でも、どうしてナポレオンなんでしょう? 中国では、サクサクした食感の粉ものを「酥(スー)」と言います。ミルフィーユのような層になった状態は「千層(チェンツォン)」になります。ミルフィーユを千層酥や小麦粉で作ったパンを指す「餅(ビン)」を使い、千層餅と呼んでもいいはずです。でも、拿破侖と呼ぶのです。

中国の伝統的な粉もの「千層餅」。千層餅は、中国各地にあり、地方によって違います 中国の伝統的な粉もの「千層餅」。千層餅は、中国各地にあり、地方によって違います

ナポレオンと呼ぶようになった理由とは?

中国の伝統的な粉ものにも千層酥や千層餅があります。もしかしたら混同することがないように、ミルフィーユは、拿破侖と呼ぶのかもしれません。それには、理由がありました。中国の検索サイト「百度」によると、17世紀のパリで、あるケーキ職人が、100層になったケーキを作るという賭けをしました。しかし、できたのはわずか3層のケーキ。これがミルフィーユだったのですが、3層では、あまりにも低い。低いと言えば、ナポレオンは、背が低いことで知られていました。それでナポレオンと命名されたそうです。実はフランスでもナポレオンと呼ぶことがあり、ロシアやポーランドでもナポレオンのようです。中国でミルフィーユがなぜ、ナポレオンと呼ばれるのか、わかりました。繊細なスイーツを食べたくなった時は、ぜひ、拿破侖を食べてみてくださいね!

天津にある宣統帝溥儀も通ったカフェ「起士林」のナポレオン。 天津にある宣統帝溥儀も通ったカフェ「起士林」のナポレオン。