京醤肉を食べた時の衝撃

目の前に出てきた料理を見て、思わず「えっ、これ? 今まで食べてきたのと全然違う」。と言っても、がっかりはしてません。大好きな「干豆腐(ガンドウフ)」が料理と一緒に出てきたので、逆にうれしいぐらい。この料理は、北京料理の一つの「京醤肉(ジンジャンロウ)」です。細切りの肉を使った時は、「京醤肉絲(ジンジャンロウスー)」と呼びます。同じ料理でも、食べる都市が違えば、使う食材や味付けも変わってくるものです。中国のような巨大な国では、ところ変われば、同じ料理とは思えない料理になることもあります。日本でもすっかりおなじみの回鍋肉が、いい例です。

右手にあるのが干豆腐。干豆腐を使った涼拌(冷菜)は、中国人が必ず注文する涼拌のひとつと言ってもいいぐらい 右手にあるのが干豆腐。干豆腐を使った涼拌(冷菜)は、中国人が必ず注文する涼拌のひとつと言ってもいいぐらい

こんなに違う! 中国各地の回鍋肉

中国全土、どこに行っても食べられる回鍋肉は、もともとは四川料理です。西南部の四川省成都で食べると、脂身たっぷりの豚ばら肉とネギを炒めたものが出てきます。本場の味付けは、四川らしく豆板醤がきいた激辛です。西北部で回鍋肉を食べると、いろんな野菜が入って来て、回鍋肉と言うよりピリ辛野菜炒めです。北京や河北省では、回鍋肉と言えば、玉ねぎとピーマンが必ず入っており、味付けもピリ辛。こんな風にところ変われば、料理も変わります。私が四川省成都に留学していた2001年に初めて京醤肉を食べました。それは、北京で食べたものとは、かなり遠いものでした。

回鍋肉の本場の四川からすれば、衝撃の北京の玉ねぎだらけの回鍋肉 回鍋肉の本場の四川からすれば、衝撃の北京の玉ねぎだらけの回鍋肉

北京の京醤肉についてくる「干豆腐」とは?

「京醤肉」とは、漢字の意味そのままに北京風肉みそ炒めです。みそを表す「醤」は、北京人が大好きな甜麺醤の醤です。回鍋肉や魚醤肉絲、西柿子炒鶏蛋(卵とトマト炒め)は、全国で食べられている中国の国民的料理です。京醤肉は、回鍋肉の域には、達していませんが、かなりメジャーな料理と言えます。私が四川で食べていた京醤肉は、甜麺醤味の肉炒めです。一回も干豆腐がついてきたことがありません。干豆腐とは、水分を抜いた豆腐のことで「豆腐皮(トウフピー)」とも言います。実際は、豆腐より生地が詰まっていて、ユバよりも厚く、食べ応えがあります。中国では、あえものにしたり、炒めたりと身近な食材です。

北京の京醤肉。現代的な盛り付けになっても、やはり干豆腐は絶対、ついてくる 北京の京醤肉。現代的な盛り付けになっても、やはり干豆腐は絶対、ついてくる

他の地方とは異なる、本場の京醤肉の食べ方とは?

北京で初めて京醤肉を食べた時、「干豆腐がついてくるのは、このお店の特徴?」と北京在住が長い友人に聞いてしまいました。「干豆腐がない京醤肉があるの?」と、逆にびっくりしたようでした。本場の食べ方は、干豆腐で肉を包んで、パクッといきます。辛くて甘いみそ味の肉とあっさりした豆腐って、互いを補いあうと言おうか、感動的に美味い! 北京ダックなど、包んで食べる料理が好きな私は、本場の京醤肉にまいりました。その後、河北省の張家口で京醤肉を食べた時も干豆腐が出てきました。北京周辺では、京醤肉と言えば、干豆腐とセットのようです。京醤肉を食べるなら、やはり本場が一番です。北京や河北省に行ったら、ぜひ、本場の京醤肉を食べてみて下さいね!

こんな風に包むだけで美味しさアップ! 肉の味つけが濃いので、タレはいらない こんな風に包むだけで美味しさアップ! 肉の味つけが濃いので、タレはいらない