超がつく一等地なのに予約の必要がない「壹条龍飯庄」

「こんな超がつくような一等地にあるレストランなのに、お昼は予約なしでオッケーって、いったいどういうこと?」。今日は、北京で友人たちと「壹条龍飯庄」でお昼ごはんです。北京のど真ん中、前門大街に面した壹条龍飯庄に行くのは、初めて。老舗の「シュアン(さんずいに刷)羊肉(ヤンロウ)」のレストランであると言うこと以外の知識はゼロ。シュアン羊肉とは、北京名物の羊のしゃぶしゃぶです。最近は大人数で行っても、個別に一人用の鍋で食べるスタイルが流行っていますが、やはり煙突がついた銅鍋でみんなで一つの鍋をつつくのが楽しい。老舗の壹条龍飯庄なら、間違いなく伝統的な銅鍋で食べられるはずです。

前門大街27号にある「壹条龍飯庄」。「老字号(ラオツーハオ)」と呼ばれる老舗らしい雰囲気だが、台基廠にある支店のほうが流行っている 前門大街27号にある「壹条龍飯庄」。「老字号(ラオツーハオ)」と呼ばれる老舗らしい雰囲気だが、台基廠にある支店のほうが流行っている

しゃぶしゃぶは、比べるのが難しい料理

お昼になって「予約する必要ないわよ」の意味がやっと判明。お店の人は、不愛想と言おうか、一昔前の中国を彷彿とさせる接客態度です。人気が全くないお店でした。接客態度はさておき、味が良ければ、文句なしです。老舗だけに年季が入った銅鍋がテーブルに運ばれてきました。私たちが選んだタレは、北京らしく芝麻醤をベースにしたゴマダレです。さて、シャブシャブにした、ごく薄の羊肉は、柔らかく臭みもないのでいくらでも食べられます。シャブシャブって、北京では家庭料理です。鍋に湯を沸かして、そこにクコの実や生姜を入れるだけでベースはオッケー。美味しいとまずいの差が少ない料理だけに、壹条龍飯庄のしゃぶしゃぶも文句なしに美味しかったです。

銅鍋はいいね! 一人用の小さな小鍋では、やはり気分がでない。大人数なら銅鍋に限る! 銅鍋はいいね! 一人用の小さな小鍋では、やはり気分がでない。大人数なら銅鍋に限る!

初めて知る「壹条龍飯庄」の物語

壹条龍飯庄は、清朝の乾隆50(1785)年創業の老字号です。老舗だけあって、いかにも北京らしいエピソードがあります。光緒3(1897)年の春の日、2人のお客が店にやってきました。当時は、まだ「南恒順羊肉館」と言う名前で羊肉や「焼餅(シャオビン)」と呼ばれる胡麻パンに加え、シャブシャブや麺を始めたばかりでした。2人のお客は、しゃぶしゃぶを食べ終わっても、代金を払いませんでした。食い逃げするような人間でないと思った店主は、「いつでもいいから代金を持ってきておくれ」と言うと、翌日、立派な身なりの使いが宮廷からやってきました。やっと、昨日の二人のうち若いほうが光緒帝だったと気が付いたと言う物語です。

「壹条龍飯庄」があるのは、前門のメインストリート。明清代に北京にやってきた人は、内城に入る前に前門で許可を待つ必要があった。そのため前門には、商店、食堂、旅館などが集まってきた 「壹条龍飯庄」があるのは、前門のメインストリート。明清代に北京にやってきた人は、内城に入る前に前門で許可を待つ必要があった。そのため前門には、商店、食堂、旅館などが集まってきた

「壹条龍飯庄」本店で要チェックの宝物とは?

このエピソードは、瞬く間に北京中に広まり、南恒順羊肉館は、「壹条龍」と呼ばれるようになったそうです。中国では龍とは皇帝のことを指します。壹条龍飯庄では、光緒帝が使った銅鍋を宝物とし、他のお客に使用しませんでした。今も前門大街の本店には、光緒帝が使った銅鍋が展示されています。それにしても壹条龍のスタッフのやる気のなさは、いったいなんなのでしょう? 北京の顔として異常なほど家賃が高い前門大街だと言うのに。老舗の中の老舗らしく借りているのではなく、自分のお店に違いありあません。皇帝がお忍びでやって来たと言えば、シューマイで知られる「都一処」が有名ですが、他にもあったんですね。やっぱり老舗っていいね!

店内に飾られている光緒帝が使った銅鍋。「宝鍋」と書かれている 店内に飾られている光緒帝が使った銅鍋。「宝鍋」と書かれている