中国の安宿に長期滞在している人たち

「私は外国人だから、同じ国の人間同士なら、聞きづらいような質問もできちゃうかな?」と、思っていた頃があります。質問してみたい相手というのは、中国の安宿に長期滞在している中国人の若者です。10数年前ならユースホステルのドミトリーで出会う人たちと言えば、中国人以外の外国人旅行者と決まっていました。今は、半分以上、時には全員が中国人の若者です。そのほとんどが数日間の短い滞在ですが、なかには長期滞在の人たちもいます。彼らは、だいたい、2種類に分かれます。まずは、北京や上海などの大都市で、安宿をアパート代わりにして、毎朝、会社に出勤していく人たちです。もうひとつは、最近は、めっきり減りましたが、長期滞在なのに観光に行かない人たちでした。

北京の遠東国際青年旅舎(ファーイーストユースホステル)のドミトリー。中国の安宿は、清潔で設備が良いところが多く、とにかく快適 北京の遠東国際青年旅舎(ファーイーストユースホステル)のドミトリー。中国の安宿は、清潔で設備が良いところが多く、とにかく快適

昼間、部屋にずっといる若者は、いったい何もの?

買ったものを置きに行くなど、昼間の中途半端な時間にドミトリーの部屋に帰ることがあります。そんなとき、今日は、まだ、どこにも出かけていないか、宿の前のコンビニ以外には、行っていないような中国人の若者と出くわします。長期滞在なので時間に余裕があるのか、あまり出かけません。部屋でカップラーメンやどこにでも売っているようなぶっかけ飯を食べたりして、だらーんとした雰囲気が漂ってきます。こんな時「あなたは、観光に行かないの?、明日はどこに行くの?いつまでここにいるの?」など、大きなお世話なことを聞きたくなってしまうのです。こういういかにも長期滞在の中国人は、かつて見られなかった人たちです。

中国人個人旅行者が現れ始めたのは、いつ頃?

10数年前、安宿に泊まっている中国人に出会うことはほとんどありませんでした。当時は、個人で旅行をしている中国人が非常に少なかったからです。そのうちに中国人の学生やチベットや山が好きな社会人の旅行者に会うようになりました。ツアーではなく、個人旅行をする人たちがだんだん増えてきました。ただ、個人旅行と行っても、数人のグループで来ている人たちが多く、ひとり旅はほぼ皆無。私がひとり旅の中国人の若者と出会うようになったのは、2012年頃からです。数人でワイワイ旅をすることが好きな中国人にも「とうとう、ひとり旅派が出てきた」と感心していたら、何をしに来ているのか謎の長期滞在の中国人にも会うようになりました。

雲南省の大理から約3時間の諾ドン。こんな奥地にもゲストハウスができ、のんびり過ごす若者が現れはじめた 雲南省の大理から約3時間の諾ドン。こんな奥地にもゲストハウスができ、のんびり過ごす若者が現れはじめた

中国の旅行事情の変化は、日本の何倍のスピード?

何をしているのか謎の中国人の若者に質問してみると、仕事を辞めてきた人たちでした。気に行った町に出会ったら、そこで働きたいという人もいました。なんだかどこかで聞いたような話。日本の90年代に流行ったバックパッカーブームの頃みたいです。ただ、2015年になると、長期滞在の中国人の若者に会わなくなりました。中国経済が低調なので、会社を辞めると、簡単に仕事が見つからなくなったからでしょうか? 個人旅行が増え、あてもなく長期滞在する旅行者も現れ、経済が悪くなると同時に長期旅行者が消えてしまう。中国経済は、変化のスピードが超高速です。旅行事情も驚異的な速さで変わりました。日本の20年にも及ぶ旅行事情の変化を中国の場合、わずか5年前後で見たような気分です。こうなると次の変化が予測不可能? やはり中国から目が離せません!

中国人バックパッカーの聖地を呼ばれる雲南省の大理。自由業の若者の移住が増えている 中国人バックパッカーの聖地を呼ばれる雲南省の大理。自由業の若者の移住が増えている