習主席の一声で始まった「トイレ革命」

習近平国家主席の鶴の一声で、中国では「トイレ革命」が始まったそうです。2017年12月6日の産経新聞の「矢板明夫の中国点描」で、こんな内容の記事が紹介されていました。習主席が「全国のトイレの衛生状況を改善すべきだ」と発言した際に、「トイレ革命」と言う言葉を使ったので、たちまち中国全土で「トイレ革命運動」が起きたようです。コラムを読んだ時、思わず「中国のトイレは、もう十分きれいです」と言いそうになりました。90年代から2000年にかけて中国を旅行したことがある日本人が覚えているトイレと現代のトイレは、全く違います。あの頃の面影はどこにもありません。

公衆トイレのレトロな看板 公衆トイレのレトロな看板

90年代の中国では当たり前だったニーハオトイレ

90年代の中国のトイレと言えば、観光地や駅でも「ニーハオトイレ」がほとんどでした。扉がなく、溝が一本あるだけ、低い壁が便器の両側にあるだけのトイレのことです。今では、ニーハオトイレなんてガイドブックに出ているような観光地や都市では、ほぼ見かけません。ニーハオトイレの時代は、かなり汚れているところもありました。今は、かなりきれいになり、ニーハオトイレも北京の胡同以外では、ほとんど見かけなくなりました。

新疆ウイグル自治区の西南部、和田のトイレ。溝に壁をつけたタイプ 新疆ウイグル自治区の西南部、和田のトイレ。溝に壁をつけたタイプ

90年代のトイレと現代のトイレを比較

だから「なんで、いまさらトイレ革命が必要なの?」って感じなのです。党の重要会議では、「中国の観光地や農村部では定期的に清掃されていないトイレが多く、外国人観光客らの評判が悪い」と言う発言もあったそうです。確かに一部の観光地のトイレは、清潔ではないこともあります。例えば、陝西省の古都西安の人気観光地、回民街は、西安で一番大きな美食街です。平日でも観光客でごった返しているだけあって、公衆トイレは、いつも行列で清潔とは言えません。しかし、この20年で中国人の公共に対する意識が大きく変わったので、汚れ方は、90年代のそれとは全く違います。90年代の中国を知っている人間からすれば、今のトイレは、比べようもないぐらい清潔になっていると映ってしまいます。

胡同と呼ばれる北京の路地に残っているニーハオトイレ 胡同と呼ばれる北京の路地に残っているニーハオトイレ

ニーハオトイレに出会うと、こみあげてくる気持ち

トイレ革命が始まって以来、公衆トイレにブラシ、ゴミ箱、ゴミ袋、石鹸、洗剤の5点を揃えることを義務づけ、担当者による定期巡回体制を整えた市もあるそうです。トイレが常に清潔だと助かります。また、中国では、トイレに住んでいる人をよく見かけます。トイレの建物の真ん中に管理人室があるところが多く、ここに管理人とその家族が住んでいます。一間限りの小さな部屋に農村から出てきたような若い夫婦や老人夫婦が住んでいるのをよく目にします。管理人室があるトイレは、定期的に掃除がなされています。全てではありませんが、もう十分清潔じゃない? それよりニーハオトイレを見かけなくなり、中国のトイレ文化がなくなったような気がしています。たまにニーハオトイレに遭遇すると、懐かしさでいっぱいになってしまいます。

広東省潮州のトイレは、中に必ず水槽がある。トイレを使った後、水槽から水をくんで流す 広東省潮州のトイレは、中に必ず水槽がある。トイレを使った後、水槽から水をくんで流す