北京石刻芸術博物館の中にある珍しいスタイルの塔

北京石刻芸術博物館の中にある塔を見た瞬間、「いったい何風なんだろう?」と不思議な感じがします。今まで見てきた中国の塔とは、スタイルが違いすぎて、変わっているとしか言えません。日本人に一番知られている中国の塔と言えば、古都西安の大雁塔? 傾いているので有名な蘇州の霊岩寺塔あたり? 日本人旅行者が多い新疆ウイグル自治区のトルファンの蘇公塔も意外と知っている人が多いかもしれません。中国各地で見られる塔は、建設された時代、場所によってスタイルが異なります。屋根、外壁、梁なども違っているので、中国らしい塔を説明するのも難しいのですが、石刻芸術博物館の中にある金剛宝座塔は変わった形をしています。

陝西省西安の大雁塔。三蔵法師がインドから持ち帰った経典を保存するために建てられました 陝西省西安の大雁塔。三蔵法師がインドから持ち帰った経典を保存するために建てられました

真覚寺の金剛宝座塔が珍しいスタイルな理由

北京石刻芸術博物館は、五塔寺の中にあります。その中心にある金剛宝座塔は、5つの塔で成り立っているので、五塔寺とも呼ばれています。正式名は、真覚寺です。明代の永楽年間(1403-1424)にネパールからやって来たインドの高僧が、五体の金佛像とインドのブッダガヤの塔の図案を皇帝に献上しました。その後、建設が始まり、1473年に真覚寺が完成しました。金剛宝座塔は、4角にそれぞれ11層の塔が配置され、中心部に13層の塔が建っています。宝座と呼ばれる台座の部分は、南北18.6メートル、東西に15.7メートルあります。その周囲をぐるりと仏様が彫られています。一つ一つ精巧に彫られた仏像は、どれも表情が違っていて、見ごたえありです。

台座の上に5つの塔が建っている真覚寺の金剛宝座塔。塔の上には登れませんが、台座の部分は中の見学ができます 台座の上に5つの塔が建っている真覚寺の金剛宝座塔。塔の上には登れませんが、台座の部分は中の見学ができます

真覚寺以外にも残っている金剛宝座塔とは?

大きな箱の上に5棟の塔が建っているような金剛宝座塔が、中国らしくない感じがするのは、インド様式だからでした。中国国内には、他にも3か所、インド様式の塔が残っています。北京の碧雲寺、西南部の雲南省昆明市の官渡古鎮、北京の北西に位置する内モンゴル自治区呼和浩特の慈灯寺です。その中で一番、精巧で美しいのが真覚寺のものだと言われています。碧雲寺の金剛宝座塔は、乾隆13(1748)年に建設されたものです。北京の紅葉スポットとして知られる香山の山上に建っているので、「最高の」金剛宝座塔と紹介されています。日本語で解釈すると、一番すばらしいと勘違いしそうですが、一番高い場所にある金剛宝座塔です。

金剛宝座塔の台座を取り囲むように仏像が彫られています 金剛宝座塔の台座を取り囲むように仏像が彫られています

北京ではマイナーだけど、真覚寺に行ってみよう!

中国の塔は、とにかくバラエティに富んでいます。その中で、そりかえった瓦屋根もなく、まっすぐ伸びた高い塔でもない真覚寺の金剛宝座塔は、かなり珍しい塔です。中国各地の塔を見るのが好きな人なら、楽しめること間違いなし。真覚寺以外の金剛宝座塔は、どこも日本から遠く、北京の香山にしても不便なところです。万里の長城や故宮博物院などの世界遺産の宝庫の北京では、真覚寺は、やはりマイナー観光地です。その割には市内中心部の動物園にも近く、交通の便がいい場所にあります。石刻芸術博物館でもあるので、多くの墓碑が展示され、穴場感あり! 塔好きなら、真覚寺の金剛宝座塔を見に行ってみませんか!

金剛宝座塔の東側に多くの墓碑が展示されています。真覚寺へは、地下鉄4、9号線「国家図書館」C出口下車。川沿いに東に向かって、約500メートル 金剛宝座塔の東側に多くの墓碑が展示されています。真覚寺へは、地下鉄4、9号線「国家図書館」C出口下車。川沿いに東に向かって、約500メートル