北京のど真ん中なのに、訪れる日本人がほとんどいない史跡

何回も北京に行っておきながら中に入ったのは初めて。でも、北京リピーターの日本人でも来たことがない人が、ほとんどじゃないかしら? 私が初めて訪れたのは、故宮博物院の南、天安門広場の北に位置する労働人民文化宮です。なにしろ天安門広場、故宮博物院、前門と北京を代表する観光スポットに近すぎます。労働人民文化宮まで観光する人は、かなりの少数派。よほど歴史に興味がある人しかいかないのでは? しかも名前がいまいち。日本人が「労働」、「人民」から連想するのは、社会主義。新しい史跡のような感じがする上に、いったいどんなところかイメージできません。そんなわけで私も長らくすっとばしていました。

労働人民文化宮の正殿。故宮博物院の太和殿にそっくり 労働人民文化宮の正殿。故宮博物院の太和殿にそっくり

労働人民文化宮の中に入って、まず驚くこととは?

2018年3月、初めて労働人民文化宮を訪れました。瑠璃瓦の門から中にに入ってみて、びっくり! まさにミニ故宮。北京だけでなく中国の象徴ともいえる故宮博物院を代表する太和殿にそっくりな宮殿が、労働人民文化宮の中にもありました。中国映画には、皇帝がおでましになると、宮殿の中庭を埋め尽くす文官や武官がひれふすというおきまりのシーンがあります。このシーンに登場するのは、故宮博物院の太和殿なのですが、ミニ太和殿が労働人民文化宮の中にもありました。それが正殿です。その奥に正殿とあわせて3棟が連なる姿は、故宮博物院と全く同じ構造です。

故宮博物院の太和殿。朝8時30分の開門から観光客でいっぱい! 故宮博物院の太和殿。朝8時30分の開門から観光客でいっぱい!

労働人民文化宮が故宮博物院とそっくりな理由

労働人民文化宮は、もともとは明清代の皇帝が祖先の位牌を祀り、祭祀を執り行った太廟です。明代の永楽18(1420)年に建築され、その後、明清代に増改築が行われ、現在の姿になりました。「左祖右社」と呼ばれる宮殿の左に祖先を祀る祖廟、右側に祭祀を行う社壇を配置する伝統的な構造をとっています。現在は、中山公園になっている社壇とともに故宮博物院の重要な構成部分です。故宮博物院は、皇帝の公の場である外朝と皇帝ファミリーの生活の場である内廷に分かれています。労働人民文化宮は、まさに故宮博物院の外朝の部分と同じなのです。でも、入場料は、たったの2元(約36円)!

労働人民文化宮は、中国人にとっては結婚式より重要と言われる結婚写真の人気撮影スポット 労働人民文化宮は、中国人にとっては結婚式より重要と言われる結婚写真の人気撮影スポット

労働人民文化宮に行くなら、東門をめざそう!

明清代は、太廟だった宮殿が労働人民文化宮と呼ばれるようになったのは、1950年5月1日からです。周恩来が提案し、毛沢東が命名したことにより、一般公開が始まりました。2018年3月現在、天安門広場周辺の警備は、とにかく厳重です。故宮博物院の入り口である午門にたどり着くまでに何度も持ち物のエックス線検査とパスポートチェックがあります。朝8時すぎには、天安門広場周辺には、既にすさまじい行列が出来ていました。初めて北京を訪れた旅行者なら一回は、故宮博物院に行くべきですが、二回目の旅行者なら労働人民文化宮に行ってみませんか! 見ごたえがあるのに、入場料は、たった2元(約36円)です。行くなら、警備が異様に厳しい長安街の入り口ではなく、東側の南池子大街にある東門から入ると、並ばずに入れますよ!

労働人民文化宮は、観光客が少なく、ひっそり静か。落ち着いて見たい人にぴったり 労働人民文化宮は、観光客が少なく、ひっそり静か。落ち着いて見たい人にぴったり