亀だらけの北京の名所旧跡

2018年10月、北京で訪れた国子監、孔廟、真覚寺(五塔寺)などなど、どこに行っても亀ばかり見ていました。「亀ばかり見ていた」と言うのは、池で飼われている亀ではなく、石造りの巨大な亀です。国子監は元、明、清代の最高学府、孔廟は古代中国の儒教の始祖であり、思想家であった孔子を祀っているところです。真覚寺は、金剛宝座塔と呼ばれる珍しい形の塔があることで知られてますが、現在は石刻芸術博物館になっています。これらの場所は、どこに行っても清朝の皇帝の功績をたたえる記念碑が数多くあります。その巨大な記念碑を支えているのは、どれも亀なのです。

五塔寺石刻芸術博物館の中は、亀だらけ! 五塔寺石刻芸術博物館の中は、亀だらけ!

国子監は、巨大な亀だらけ!

北京中心部にある国子監に行くと、清朝の乾隆帝の功績をたたえる記念の石碑があります。清朝の最盛期を築いた皇帝だけに、記念の石碑は本当に大量。台湾やベトナムにも遠征し、10回遠征し、10回とも勝利を治めた「十全老人」と自称するだけのことはあります。広大な国土を治める皇帝は、常に自分の力を誇示しないとだめなんでしょう。石碑も、功績の大きさと同じく巨大です。その石碑は、どれも甲羅がものすごく立派な亀に支えられています。外国人旅行者には、石碑に押さえつけらえているようにしか見えませんが、中国では石碑と亀はセットです。

国子監で見られる乾隆帝の功績をたたえる石碑。巨大な亀が、ひときわ大きな石碑を支えている 国子監で見られる乾隆帝の功績をたたえる石碑。巨大な亀が、ひときわ大きな石碑を支えている

中国では、亀とはどんな生き物?

亀は、日本と同じ様に中国でも縁起の良い動物です。龍、鳳凰、麒麟とあわせて「4大霊獣」に数えられています。皇帝のシンボルである龍、皇后を示す鳳凰、3番目の麒麟も全て空想上の万能の動物。そこに亀が含まれています。中国では、亀は長寿の象徴だけではない、すごい動物なのです。その亀が石碑を支えるようになったのは、中国の神話と関係があります。女か(女へんに過の右側)は、神話に登場する女神で、人類を創造したと言われています。ある時、天を支えていた4本の柱が折れ、大地が避け、洪水が起きると言う天変地異が起きました。女かは、大亀の足を切り取って、天と地を支え直したと言われています。これによって亀は力持ちと考えれるようになったのです。

体は、亀なのに頭は龍という一体型も見られる 体は、亀なのに頭は龍という一体型も見られる

石碑を支える亀が意味するもの?

亀は、力持ちを印象づける神話のせいで皇帝の功績を讃える巨大な石碑を支える役目に割り振られてしまいました。また、長寿でもあり、皇帝の輝かしい御世を永遠に支えると言う意味も含まれているのかもしれません。そう思ってみると、元から清代にかけて歴代皇帝が住んでいた北京の宮殿や皇帝や国家と関係が深い名所旧跡が、どこに行っても亀だらけなのも納得。亀って中国では、空想上の動物と同格のすごい動物なのです。

北京郊外の盧溝橋にたっている石碑を支えているのも、やはり亀! 北京郊外の盧溝橋にたっている石碑を支えているのも、やはり亀!