- 浜井幸子
- 京都在住の神戸人。19歳の時、人生初の海外旅行で中国に行き、何が飛び出してくるかわからない中国の魅力にはまる。その後、成都と北京に語学留学し、現在は主に中国の食と旅をテーマに執筆活動中。中国の粉もの文化を中心としたアジアの食が得意分野。著書に「シルクロードおもしろ商人スクラップ」、「中国まんぷくスクラップ」などがある。
出発エリアをに変更しました。
労働文化宮の太廟。常に観光客が少ないため、静かにゆっくり見られる
10月1日から8日までの北京の故宮博物院の入場券が全て売り切れ! 新型コロナの影響で、今年は中国人も出国できません。あわせて6億人が国内旅行に出かけると言われています。だから国慶節の休暇中、故宮博物院の入場券の予約販売が完売というニュースを見ても、全然驚きません。予想通りという感じです。10月1日から始まる国慶節の大型連休は、2020年は最長8連休。18年や19年より1日長くなっています。国慶節の休暇中、最も予約が取りにくいと言われているのが故宮博物院、西安博物院、陝西省歴史博物院です。それ以外の観光地も予約が取りにくい状況になっているため、中国のネットニュースを見ると、「休暇中、(観光地の)予約がないなら、出かけるな」と言われています。この傾向は、外国人にはちょっと面倒なことになりそうです。
以前の当日券売り場。平日の朝、一番でもこんなに並んでいる。私はいつも開館の8時半を目指して行っていた。
2020年10月現在、故宮博物院は、午前15000人、午後15000人の観光客を受け入れています。新型コロナが流行る前、故宮博物院は予約なしでも、当日券を買えば、参観することができました。1日の入場者数は限られていますが、観光客が多い土日でも、午前の早い時間に行けば、参観できました。私が故宮に行く時は、当日券組でした。というのも外国人が故宮博物院のHPから入場券の予約をするのは、ハードルが高かったのです。中国国内の銀行に口座を持っていないと支払いまで進めません。故宮博物院だけでなく、中国の名所旧跡は、口座がないと、HPから予約できないところがほとんどです。無料の博物館も同じで、外国人がHPから予約するのは非常に難しい。故宮博物院は旅行予約サイトでしか、予約できませんでした。新型コロナ後、故宮博物院は予約なしでは参観できなくなりました。
金水河にかかる橋から見た太和門。創建は1420(永楽18)年だが、現存するのは清の1889(光緒15)年に再建されたもの
世界遺産の故宮博物院は、紫禁城と呼ばれ、明清代の歴代皇帝が暮らし、政治を執り行った場所です。初北京なら、ぜひとも行きたいところ。現在の故宮は、明代の1406(永楽4)年に建設が始まりました。現存するのは、清代に修復されたものですが、スケールの違いに圧倒されます。総面積72万平方メートルもある故宮は、政治の場である外朝と皇帝とその家族の生活の場である内廷に分かれます。2020年10月現在、唯一の入場門である午門を入ると、金水河と言う人造の川があります。その向こうが太和門です。台湾門を過ぎると、太和殿です。中国映画では、文武百官が皇帝にひれふすシーンがよく出てきますが、それは太和殿で行われました。この雰囲気を感じたくて故宮に行ったのに、予約がないので見られないなんてことになったら、本当に残念。そんな時でも確実に参観でき、故宮の雰囲気を感じられる、おすすめスポットがあります。それが労働文化宮です。
本当に目立たない労働文化宮の入り口。地下鉄「天安門東」駅に近い南池子大街(通り)から入る
労働文化宮は故宮の午門と天安門広場の間にあります。いかにも社会主義国を連想させる名前ですが、もともとは皇室の太廟として、1408(明の永楽18)年に建設されました。ここで明清代の皇室が祖先の位牌を祀り、祭祀を行いました。中に入ってみると、まさにミニ故宮! 最も完全な形で現存する明代建築物の一つとも言われています。故宮と同じく、中軸線上に左右対称の建築物が並んでいます。観光客でごった返す故宮と違い、こちらはひっそり静まりかえっています。故宮にあまりにも近すぎて、参観する観光客が少ないのかもしれません。労働文化宮は、2020年5月20日から28日は、電話予約が必要でしたが、その後は予約の必要はないようです。入場料は、2元(約32円)。ミニ故宮なので入場料も故宮の30分の1。故宮の予約がどうしてもとれなかった時は、労働文化宮に行ってみませんか。故宮の大きさは体験できませんが、雰囲気は十分感じられますよ。
※1元=約15.93円。2020年11月時点。
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※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
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