初めて泊まる北京の安宿に入って、驚いた理由

初めて泊まる北京の安宿に入った瞬間、「あれっ、妓楼っぽい」と思ったのです。「妓楼」とは遊郭のことです。外観もかなり古く、歴史がありそうな建物でしたが、中は中国映画で見た妓楼にそっくり。ホールになっている場所を取り囲むように小さな部屋が並び、2階から妓女たちがホールで起きている騒ぎを見ているシーンを思い出しました。このシーンを再現できそうな建物です。私が泊まった安宿は、前門の大柵欄に近い「上林国際青年旅舎」です。外国人旅行者も泊まる北京の安宿は、増え続けています。天安門広場の南側に位置する前門付近は、そんな安宿が何軒も集まっている地区です。その中でもトップクラスの人気があるのが上林国際青年旅舎です。

築200年以上と言われる建物を利用した上林国際青年旅舎 築200年以上と言われる建物を利用した上林国際青年旅舎

上林国際青年旅舎がある「陝西巷」とは、どんな場所?

上林国際青年旅舎は、欧米人旅行者に人気が高い安宿です。他の情報は一切なく、予約を入れ、来てみると、宿の建物が大当たりでした。上林国際青年旅舎は「陝西巷」と呼ばれる路地にあります。ここは、かつて「八大胡同(パーダーフートン)」と呼ばれた場所です。「胡同」とは路地のことです。「八大」なので8か所の大きな胡同があると思うかもしれませんが、中国でも八は縁起が良い数字なので使ったという説があります。この八大胡同は、清朝末期から民国時代にかけての北京最大の色町だったところです。江戸時代の吉原のような場所です。中でも陝西巷は、高級妓楼が集まっていたと言われています。今は下町そのものの風景の中に納まっている上林国際青年旅舎も高級妓楼のひとつでした。

かつて高級妓楼が集まっていた陝西巷も今ではごく普通の下町 かつて高級妓楼が集まっていた陝西巷も今ではごく普通の下町

北京ッ子なら誰でも知っている伝説の妓女

上林国際青年旅舎の中庭に貼られている説明を読むと、「賽金花と小鳳仙もいたことがある」と書かれています。この二人は、北京ッ子なら、いや、中国人なら誰もが知っている伝説の妓女です。賽金花は、外交官として活躍する洪欽とともにヨーロッパを回り、外交手腕を発揮した女性です。小鳳仙は、袁世凱と敵対する考えを持つ軍人の恋人が北京から脱出するのを手伝い、袁世凱の計画に大きな打撃を与えた女性です。二人のドラマチックな生涯は、中国では何度も映画化やドラマ化されています。この二人がいたことがある妓楼に泊まれるって、うれしいような複雑な気持ち。こんな歴史ある妓楼を安宿なんかにしてしまっていいのかしら?

上林国際青年旅舎の部屋は、簡素で清潔! 80年代、90年代に招待所と呼ばれた宿泊施設を思わせます 上林国際青年旅舎の部屋は、簡素で清潔! 80年代、90年代に招待所と呼ばれた宿泊施設を思わせます

レトロな雰囲気にはまる! とにかく泊まってみるのがおすすめ!

由緒ある妓楼をきちんと保存してほしいという気持ちはありますが、上林国際青年旅舎は、雰囲気があるお宿です。レトロな魅力を追及する旅行者にはぴったりです。ただし、レトロとは言え、しゃれているという意味ではなく、病院のようにシンプルで飾り気のない部屋が昔の中国そのもの。部屋に通っているむきだしの暖房のパイプ、お湯が出るまで信じられないほど時間がかかるシャワーなどなど。数十年前の社会主義を邁進していた時代の中国を思い出します。その頃の中国を知っている人なら、懐かしさでいっぱいになりますよ。夜になり、廊下のぼんぼりが灯ると、妓楼の妖しい雰囲気がよみがえってきます。北京で安宿に泊まるなら、上林国際青年旅舎に泊まってみませんか? かつての妓楼に泊まる体験ができるのは、ここだけですよ!

昼と夜でがらりと雰囲気がかわります。妖しげな雰囲気の夜がおすすめ! 昼と夜でがらりと雰囲気がかわります。妖しげな雰囲気の夜がおすすめ!