思わず、雰囲気にのみ込まれた「国営冷麺」

中国の東北地方にいるのだから、おいしい冷麺を食べたい! 思いっきり期待をして入ったそのお店は、ネットの評判通りお客でいっぱいでした。冷静にお店を観察する前に、その雰囲気にのみ込まれてしまいました。「すっ、すごい! このお店は現代じゃない!」。北京では、文革の頃の殺伐とした雰囲気そのままのレストランが流行ったことがありました。もちろん、その雰囲気は演出です。今、私がいるお店は、圧迫されそうなほど低い天井に、洞窟のような店内は安っぽい板張りです。とうてい今の中国とは思えない雰囲気が漂っています。ここは中国の東北部、吉林省長春の「国営冷麺(南関区上海街8号)」です。

おじさん度の高さがすごい! とにかく女性客が少ないお店です おじさん度の高さがすごい! とにかく女性客が少ないお店です

冷麺ランキング2位のお店なのに・・・

中国の東北地方には、少数民族の朝鮮族が住んでいます。ここでは本場の美味しい冷麺が食べられます。戦前、日本が作った満州国の首都があった長春で、おいしい冷麺を検索すると「国営冷麺」が出てきました。ランキングは堂々2位! それなのに評価を読んでみると、なんだかけなしているような感想ばかり。「従業員の態度が最悪」、「犬肉はうまかったが、あとは普通」、「他の人には、お勧めしない」などなど。とりあえず私が泊まっているホテルから、行きやすいこともあり、国営冷麺に行ってみました。

中国の国営レストランってどんなところ?

社会主義の中国では、もともと国営だったレストランや食堂は珍しくありません。そういうお店は老舗ですが、国営時代をひきずっているので、従業員の態度がいまいちです。「売ってやっている」とばかりの態度と愛想笑いのひとつもありません。「国営冷麺」もそんなお店なんでしょう。紺地に赤い文字で国営冷麺と書かれた古めかしい看板をくぐると、正面は、いきなり煮込んだ犬肉の山! 朝鮮族は犬肉を食べる習慣があるので、冷麺屋さんと言えば、犬肉料理屋さんを兼ねています。小さな窓口で冷麺代を払うと、食券をくれます。食券を細長い洞窟のような店舗の一番奥のカウンターに持って行くと、冷麺と引き換えです。

新鮮な?体験ができる「国営冷麺」

ふちが欠けたお碗に入っているのは黒い冷麺です。韓国では「チクネンミョン」と呼ばれている葛入りの冷麺です。酸っぱくて甘味のあるスープがあまり冷えてないので、もうちょっとキンキンに冷えたスープで食べたいです。でも、この国営冷麺は、超人気店です。昼になると続々とおじさんのお客がやってきて、空席が見つかりません。隣の部屋もあっという間に満席です。おじさんたちは犬肉、冷菜、冷麺を注文しています。テーブルに乗っている赤いバケツとお碗は、なんとビール! バケツ入りのビールをお碗ですくって飲むなんて、初めて見ました。「国営冷麺」だけあって、本当にすごいお店でした。長春に行ったなら、ぜひ! 冷麺はさておき、ものすごく楽しめるお店ですよ!