安徽省合肥で初めて食べた、見た目も美しい蒸し料理

業務用の巨大な蒸籠のふたをあけると、中には小鉢がいっぱい! 野菜の鮮やかな緑や唐辛子の赤がつやつやして、とにかくおいしそう! 実際に食べてみると、辛いけど軽い! 四川料理の油たっぷりの重い辛さしか知らなかった私には、衝撃の軽さでした。私が初めて「蒸菜(ジョンツァイ)」と呼ばれる蒸しもの料理を食べたのは、安徽省合肥です。安徽省は、沿岸沿いにある浙江省の西側にあり、省都は合肥です。合肥に住む中国人の家に行った時、団地の中庭には、何軒か食堂がありました。そのうちの一軒が蒸菜の食堂でした。初めて食べた蒸菜は、料理の赤と緑が鮮やかで、美味しくて、お値段も安く、気に入ってしまいました。

蒸菜は、どれも色鮮やか! 油をあまり使っていないので、胃がもたれない 蒸菜は、どれも色鮮やか! 油をあまり使っていないので、胃がもたれない

湖南省で生まれた蒸菜とは?

安徽省合肥で初めて食べたので、蒸菜は安徽料理だと思っていたら、実は湖南料理でした。湖南省は、中国南部に位置し、毛沢東の出身地として知られています。四川省と並ぶ辛い味付けを好む地方でもあり、湖南料理は四川料理ほどではありませんが、時々、大ブームが起きるほど人気が高い料理です。安徽省ももともと辛い味付けを好む地方なので、合肥では唐辛子がきいた蒸菜の食堂をあちこちで見かけました。蒸菜の食堂には、だいたい「瀏陽蒸菜(リュウヤンジョンツァイ)」の看板があがっています。瀏陽とは、湖南省の省都、長沙の東側にある蒸菜発祥の地です。

巨大な蒸籠、四角い箱型の蒸し器が蒸菜の食堂の目印! 巨大な蒸籠、四角い箱型の蒸し器が蒸菜の食堂の目印!

蒸菜は、湖南省の客家の生活から生まれた料理

蒸菜は、瀏陽の客家と呼ばれる人たちの伝統料理と関係があると言われています。現在より家族が多かった時代、客家の農村では、朝1回お米を炊く時に、1日3回分のごはんとおかずの準備をしたそうです。大鍋でお湯を沸かし、米を煮ます。6、7分目煮えたら、こしきに移して、野良仕事の間にしっかり蒸らします。ごはんが蒸しあがるまでの時間の合間を利用して、おかずの準備をし、おかずもお皿ごとこしきに入れます。1回の調理時間で3回分のごはんの準備ができました。瀏陽蒸菜は、客家の人たちの生活の知恵から生まれた料理です。

小さな素焼きの容器に入った蒸菜。野菜を使った料理が多い 小さな素焼きの容器に入った蒸菜。野菜を使った料理が多い

中国南部で特に人気が高い蒸菜

蒸菜は蒸すだけの料理なので、油で炒めたり、煮こんだりしません。だから野菜の緑や唐辛子の赤がびっくりするほどきれい。赤の生唐辛子や黄色い生姜は、味付けに使われています。油たっぷりで唐辛子や豆板醤の重い辛さの四川料理と違い、油が控えめの瀏陽蒸菜は、あっさり、軽い辛さです。いくらでも食べられそう。代表的な料理は、清蒸鶏蛋(茶碗蒸しのようなもの)、清蒸猪肉(豚肉のあっさり蒸し)、清蒸青菜(青菜のあっさり蒸し)などなど。蒸すだけで味を作る蒸菜って奥深い。中国西南部の雲南省や四川省の人の口にあうのか、蒸菜の食堂はどんどん増えています。蒸菜は、湖南料理を表す「湘菜」の一種です。全国区で人気が高い湘菜の食堂ほど多くはありませんが、「蒸菜」の二文字を見かけたら、ぜひ、お試しあれ!

蒸菜には、必ず素焼きの容器で蒸したごはんがついてくる。2018年現在、野菜のおかずは、どれも10元(約180円)以下 蒸菜には、必ず素焼きの容器で蒸したごはんがついてくる。2018年現在、野菜のおかずは、どれも10元(約180円)以下