もしかして四川料理は、日本人にとって一番有名な中国料理?

担担麺、麻婆豆腐、棒棒鶏、回鍋肉、水煮牛肉などなど、どれも日本人にはお馴染みの四川料理です。かつては日本人に身近な中国料理と言えば、広東料理でした。今では、広東料理に比べて大衆的な料理が多い四川料理のほうが、より身近に感じませんか? 四川省は、中国の西南部に位置し、山岳地帯が主な面積をしめる大きな省です。省都の成都は、周辺を山に囲まれた盆地で、夏はじっとりと暑く、冬もじんわりと寒いところです。年間を通して、すっきりしない気候の土地なのです。そのため、新陳代謝を良くするため、大量の汗をかくように唐辛子などの香辛料を多用した料理が生まれたと言われています。

本場四川の麻婆豆腐。上にかかっている黒いものが、しびれるような辛味を生む花椒 本場四川の麻婆豆腐。上にかかっている黒いものが、しびれるような辛味を生む花椒

名前で味を判断しちゃいけない四川料理とは?

四川省は、九寨溝、楽山大仏、峨眉山などの世界遺産も数多く、日本人にも人気の観光地です。雄大な大自然、三国志関連の史跡など、四川省の観光地は、日本のテレビでしばしば取り上げられます。また、激辛の四川料理も紹介されるので、日本人には「四川料理は、とにかく辛い」というイメージが定着しました。確かに四川料理は「麻(マー)」と言うしびれるような辛さが特徴です。「水煮牛肉」なんて「水煮」という漢字のせいで、辛くない料理と勘違いして注文してしまう日本人が少なくありません。真っ赤なラー油に浸かった牛肉と青菜の料理が出てきて、びっくりする日本人が続出の料理です。こんな四川料理にも見た目はもちろん、辛味もなく、四川料理というには少し珍しいスープがあります。

干ビエン(火へんに扁)四季豆は、超高音で炒めた三度豆。ほど良い塩味と唐辛子の辛味で日本人ファンも多い四川料理 干ビエン(火へんに扁)四季豆は、超高音で炒めた三度豆。ほど良い塩味と唐辛子の辛味で日本人ファンも多い四川料理

辛くない!? 四川料理のシンプルなスープ

初めて、四川人の友人宅でそのスープを飲んだ時、「こんな四川料理があるなんて!」とびっくりでした。簡単な味付けですが、とにかく美味しい。それは「排骨蓮藕湯(パイグーリェンオウタン)」と呼ばれる骨付き豚肉とぶつぎり蓮根のスープです。骨付き豚肉を生姜と一緒にゆで、そこにゴロンゴロンに切った蓮根を入れるだけです。強火で20分以上煮込めば完成です。味付けは、酒と塩のみ。他の調味料は一切入れません。おどろくほど簡単なスープです。そのまま食べてもいいですが、黒酢にラー油をいれたタレに肉や蓮根をつけて食べると、四川らしくなります。

これだけでも立派なおかずになる、骨付き豚肉と蓮根のボリュームたっぷりスープ! これだけでも立派なおかずになる、骨付き豚肉と蓮根のボリュームたっぷりスープ!

はまってしまったら…日本で作ってみない?

中国では、蓮根の産地と言えば、南部の湖北省です。湖が多いことで知られる湖北省では、その湖で蓮根栽培が盛んにおこなわれています。そのため排骨蓮藕湯は、湖北料理と紹介されることもしばしば。でも、四川料理でもあり、四川の家庭料理とも言えます。地味なので扱っていないレストランもありますが、大きな四川料理のレストランに行けば、ほぼあります。お店によっては「蓮藕燉排骨(リェンオウトゥンパイグー)」とも呼びます。濃厚な骨付き豚肉のスープと蓮根って最高の組み合わせです。お酒と塩だけで味をつけたスープなので、強い刺激に驚いている舌や唇を休ませるのにもぴったりです。次回、中国で四川料理を食べにいったら、排骨蓮藕湯を食べてみてくださいね。食材も簡単に調達できるので、日本でも作れますよ!

あまりにもシンプルな料理なので、レストランで食べても家庭の味とかわりばえはしない あまりにもシンプルな料理なので、レストランで食べても家庭の味とかわりばえはしない