西北部を代表する「大盤鶏」

じゃがいもと鶏もも肉のぶつ切りがゴロンゴロン。豆板醤がきいたピリ辛味の鶏肉料理は、「大盤鶏(ダーパンジー)」と呼ばれるシルクロードの名物料理です。鶏肉やじゃがいもを半分ぐらいまで食べると、幅広の手打ち麺を加えて食べます。いったいどのあたりで麺を加えるかが論争になるほどの人気料理です。私は中国の鶏肉料理と言われると、真っ先に大盤鶏が浮かびます。でも、中国は広すぎて、各地の鶏肉料理も全然、違います。大盤鶏は、西北部ではメジャーな鶏肉料理ですが、南部の広東省や沿岸部の上海では、名前は知っているけれど、食べたことはないって人も少なくありません。

「大盤鶏」は、中国のシルクロードを代表する料理のひとつだが、発明したのは、四川からやってきた漢民族という説があります 「大盤鶏」は、中国のシルクロードを代表する料理のひとつだが、発明したのは、四川からやってきた漢民族という説があります

上海や広東省好みの「白切鶏」

ピリ辛味好きの西北部に比べて、中国南部の広東省や沿岸部の上海は、辛味がある料理が少ない地方です。広州や上海のレストランで同じみの鶏肉料理と言えば、「白切鶏(バイジエジー)」です。これは日本風に言うなら、ゆで鶏か蒸し鶏です。やわらかくて、ジューシーな鶏肉を塩、しょうが、ネギで作ったソースで食べます。特に広東人は、この白切鶏が好物らしく、広東省でレストランに行くと、ほとんどのテーブルで注文していると言ってもいいぐらいです。こんな上海や広東の人気料理も西北部では、マイナーな料理になります。大盤鶏が沿岸部で見られないのと同じです。

広東省では、白切鶏や叉焼などを量り売りする肉屋があります。ごはんと一緒に発砲スチロールの容器に入れ、お弁当にしてくれるので便利! 広東省では、白切鶏や叉焼などを量り売りする肉屋があります。ごはんと一緒に発砲スチロールの容器に入れ、お弁当にしてくれるので便利!

西南部の人気料理「口水鶏」

内陸部の四川省あたりに行くと、人気の鶏肉料理と言えば、「口水鶏(コウシュイジー)」です。日本語に訳すと、よだれ鶏! 思いだすだけで、よだれが出てくるほどおいしい鶏肉料理なので、こんな名前がついたそうです。ゆでた鶏肉をしょうが、にんにく、黒酢、ラー油と四川料理に欠かせない花椒を加えたタレで食べます。ラー油ベースの辛いタレは、花椒が入っているので、唇がジジーンとする辛さですが、これがおいしい。中国西南部の湖南、四川、雲南省に加え、広西壮族自治区の桂林周辺は、辛い味付けを好みます。鶏肉料理と言えば、口水鶏を思い浮かべる人が多いはず。もしくは「辣子鶏(ラーズジー)」あたり?

激辛の「口水鶏」は、北京のゆで餃子とも相性がいい。北京では、餃子専門店なのに四川料理が食べられるお店も少なくありません 激辛の「口水鶏」は、北京のゆで餃子とも相性がいい。北京では、餃子専門店なのに四川料理が食べられるお店も少なくありません

北部でも人気の「辣子鶏」

辣子鶏は、ぶつ切りにした鶏肉と乾燥した唐辛子と塩、花椒などで炒めたものです。肉と一緒に炒める唐辛子の量が日本人の想像の域を超えています。乾燥唐辛子が野菜がわりなので、できあがりは真っ赤! こんな辣子鶏は、北京などの北部の人も大好きです。四川料理は、上海、広東、山東など、各地の中国料理の中で最も大衆的だと言われています。中国全土、どこに行っても四川料理は、食べられます。それで辣子鶏も北京でも食べられるのかもしれません。中国では、単に「肉」と言うと豚肉を指します。「大肉(ダーロウ)」も豚肉です。中国では、豚肉料理のほうが圧倒的に多いのに、鶏肉料理って、種類は少なくても存在感を放っている料理が多い気がしませんか?

乾燥唐辛子がたっぷりの「辣子鶏」。唐辛子の量が多すぎて、食べられるところは少ないけれど、中国人は大好き 乾燥唐辛子がたっぷりの「辣子鶏」。唐辛子の量が多すぎて、食べられるところは少ないけれど、中国人は大好き