カリカリともちもちを楽しめる二つの四川名物

粉物のカリカリ食感と激辛春雨のもちもち感と言おうか、むにゅむにゅ感が妙にあう! この組み合わせに気が付くなんて、さすが四川人! これは中国西南部の四川省一帯で食べられている「鍋魁(グオクイ)」と呼ばれる粉もの料理と「肥腸粉(フェイチャンフェン)」と呼ばれる激辛春雨です。肥腸粉は、サツマイモのでんぷんから作った春雨にしょうがや花椒を入れて、ゆでた豚の腸をトッピングしたものです。辣油たっぷりの真っ赤なスープは、見た目そのままの激辛味。この辣油がきいた激辛スープと表面カリカリの鍋魁って、意外や意外、ベストマッチなんです。

肥腸粉は、とにかく辛い。豚の腸は、追加料金を払って、大盛りにできる 肥腸粉は、とにかく辛い。豚の腸は、追加料金を払って、大盛りにできる

中国西北部と西南部に広まっている「鍋魁(グオクイ)」

鍋魁は、四川省や陝西省で食べられている粉もの料理。鍋魁ではなく、「鍋クイ(灰の下に皿)」と書く地方もあります。中国西部のかなり広い地域で食べられているので、場所によって、見た目も食感もかなり差があります。私が陝西省の宝鶏や乾県で食べたのは、ギューッと目が詰まった小麦粉生地を素焼きにしたものです。厚さ6〜8センチはあろうかと言うほど分厚く、粉本来の味しかついてないので、陝西省では主食になっています。四川の鍋魁は、薄くのばした小麦粉生地に豚肉か牛肉を入れ、油をひいた鉄板でカリッと焼いたもの。四川省では、鍋魁は、主食と言うよりおやつに近い感じです。

陝西省の鍋魁。主食なので、どんな料理にもあう味。あまり味がないと言ってもいい 陝西省の鍋魁。主食なので、どんな料理にもあう味。あまり味がないと言ってもいい

元祖鍋魁テイクアウトの「軍屯鍋魁」

四川省一帯に数多くの支店がある「軍屯鍋魁」は、テイクアウト専門店です。ちなみに軍屯鍋魁とは、三国時代の兵糧が起源だと言われています。諸葛孔明の命を受けた姜維が、成都に近い彭州の軍楽村で屯田をし、そこで食べていた干した兵糧が、進化したものだそうです。この軍屯鍋魁を店名にしたのが「軍屯鍋魁」です。軍屯鍋魁の生地は、最近、成都で人気の分厚いものと比べると、薄め。厚さ1センチ程度でなので、おやつにもぴったり。鍋魁は、テイクアウト専門店以外なら、肥腸粉の食堂で売られています。肥腸粉と一緒に食べる人が多いので、肥腸粉の専門食堂には、必ずあると言ってもいいぐらいです。

軍屯鍋魁。ゴマの色で中に肉が豚肉か牛肉かがわかるようになっている 軍屯鍋魁。ゴマの色で中に肉が豚肉か牛肉かがわかるようになっている

鍋魁と食べると、辛味がごまかせる?

何がきっかけで肥腸粉と鍋魁を一緒に食べるようになったのかは謎ですが、私が成都に留学していた2001年には、この食べ方はすっかり定着していました。タイでは辛い料理を食べた時、水を飲むと、口いっぱいに辛味が広まるので水を飲むのではなく、ごはんを食べるそうです。四川省にやってきた中国人が、唇全体がひりひりするほど激辛の肥腸粉を食べた時、鍋魁をかじって、辛味を和らげたのが、始まりかもしれません。これが意外と地元の四川人にも受け、定着したとか? 四川名物の鍋魁と肥腸粉は、一緒に食べないとカリカリとモチモチを交互に味わえません。四川に行ったら、左手に鍋魁、右手のお箸で肥腸粉を食べてみませんか!

成都で人気の王記鍋塊。とにかく分厚い。軍屯鍋魁と比べると、暑さは倍以上あるかもしれない 成都で人気の王記鍋塊。とにかく分厚い。軍屯鍋魁と比べると、暑さは倍以上あるかもしれない