10数年前に見かけた中国の女性は一心不乱に手を動かしていた

10年以上前、中国大陸を自由旅行した人なら、「中国の女の人って、本当に編み物が好きだなあ」と思った人が少なくないはずです。街を散歩していると見かける、小さなお店で働いている女の人は全員、編み物をしていると思うほどでした。老いも若きも近所の人としゃべっている時ですら、編み物をする手は休めません。一心不乱に編む姿を見て、「中国人って、手作り好きな国民性なのね」と、思ったことがあります。しかし、食べ物、特にパンやスイーツに関しては、どうもそうではないようなのでした。

中国は今、空前の手作りブーム、いったいその訳は? 中国は今、空前の手作りブーム、いったいその訳は?

四川留学で初めて知ったスーパーで絶対、手に入らないもの

10年前、中国西南部の四川省の省都、成都の大学に1年間語学留学しました。成都は内陸部ですが、イトーヨーカ堂もあり、周辺から出稼ぎの農民もやってくる大都会でした。もちろん大型スーパーもたくさんあります。ある日、残ったワインでゼリーを作ろうとしたら、どこのスーパーに行ってもゼラチンがないんです。ゼラチンは中国語で「果凍粉」と言います。果物ゼリーの素みたいな意味です。名前があるのだから、売っているはずですが、見つかりません。結局、日本から送ってもらい作りました。そういえば、中国では女の子が好きな男の子に手作りのケーキやチョコレートをあげるというの話もありません。製菓材料を置いているスーパーもなかったのです。

今、中国に空前の「DIY」ブームが到来!

こんな中国が10年もたつと、がらりと変わりました。編み物に夢中だった女性も今ではほとんど見かけません。そのかわり、スマートフォンの画面から目を離さない人が増えました。編むよりもセーターが安くなったという可能性もあります。そのくせ、中国は今、空前の「DIY」ブームです。自分や孫が着るセーター以外の手作りには見向きもしなかった国民に、DIYブームが到来? 今は大型スーパーに行くと、手作りのケーキキットや枕カバーキットが売られています。

パンやケーキの手作りブームを支える人たち

DIYブームの中でも特に流行っているのは、パンとケーキです。中国はこの10数年ずっと菓子パンと洋菓子ブームです。ますますレベルアップし、おいしくなっています。趣味で自分で作りたい人も現れました。そこに食品の安全問題が加わりました。中国の食品は何かと安全面で不安があるので、わが子に安全なものを食べさせたいお母さんがたくさんいます。自分で卵や粉など材料をそろえて、手作りするのが一番安全で信用できます。こんな中国のおかあさんに支えられたパンやケーキの手作りブーム、まだまだ続きそうです。