中国人も知らないのに欧米人に人気がある町

「いったいどうやって、こんなマイナーな町を欧米人は見つけだしてくるんだろう」と、欧米人旅行者には驚愕です。中国人も知らない小さな町なのに、欧米人の間では有名な町というのが時々あります。そんな町は四川省や甘粛省のチベット自治州に限られるのですが、村に近い小さな町でもゲストハウスがあり、英語メニューがあるカフェもあります。四川省西部の「塔公(ダーコン)」もそんな欧米人好みの町のひとつです。「塔公」はチベット語ではラガンと言われ、標高3780m! 周囲を山に囲まれた小さな宿場町です。20分もあれば、村中を見て回れるような小さな町なのに、英語の看板のゲストハウスがいくつもあります。

塔山寺。向かい側にはゲストハウスが並んでいます 塔山寺。向かい側にはゲストハウスが並んでいます

10年以上前から欧米人に人気の四川省「塔公」

私が初めて塔公を知ったのは、四川省の省都、成都に留学していた2002年頃です。当時、既に塔公は欧米人旅行者には人気がありました。「2か月滞在する予定」などと言う欧米人旅行者がいたほどです。私は塔公に泊まったことはありませんが、長距離バスで何度か前を通ったことがあります。あっという間に走りすぎてしまう宿場町です。塔公に2か月も滞在するなんて理解できません。雪山がきれいな四川省北部のカンゼに行った帰り道に塔公に泊まることにしました。四川留学から10年以上たち、やっと塔公に行くチャンスが巡ってきました。

塔公って、どんなところ? 塔公に伝わる伝説とは?

塔公には、1000年の歴史があると言われる塔公寺があります。塔公寺は、小さな町に似合わず立派なので、町=お寺の境内と言ってもいい感じです。塔公寺はチベット仏教の一派、サキャ派の大寺院で千手千眼観音像や釈迦牟尼像があります。この釈迦牟尼像はチベット族の間では大変有名な像です。唐の文成公主がチベットに嫁ぐ際、持参した釈迦牟尼像は現在、チベット自治区のラサのジョカン寺の本尊になっています。これはチベットの中で最も聖なる仏像として知られています。唐の文成公主がチベットに行く途中、塔公に立ち寄りました。その時、釈迦牟尼像が塔公があまりにもいい場所なので、「ここに私を置いて行ってほしい」とお願いしたという物語が残っています。

塔公寺だけじゃない塔公の魅力とは?

結局、釈迦牟尼像はラサに運ばれてしまいましたが、塔公の小さな町を歩いてみると、「ここに残りたい」と言った釈迦牟尼像の気持ちもわかります。塔公は周辺を草原と小高い丘に囲まれています。チベット族のお祭りもこの草原で行われます。3780mの吸いこまれそうな真っ青な空の下には、塔公寺に見守られているかのような草原と丘。なんだか心が洗われるような風景です。私はわずか1泊しか泊まれないのが、無性に悔しくなってきました。それにしても欧米人って、どうやって塔公を見つけたのでしょう。欧米人の目のつけ方って、本当にすごいです。