中国で体験した恐ろしい道

「カーブを曲がる時は、お願いだから警笛を鳴らして!」、「中国の奥地のバスって、スタットレスタイヤを使っているかな・・・。」。こんなにピリピリ緊張して、バスで山越えをするのは初めてです。何しろバスは4000メートル級の山道を走っています。4000メートルを越えると、9月というのに万年雪なのか、雪景色です。知りたくないですけど、どれぐらい細い山道なのか、バスの窓に顔を傾けると、バスの車体の外側に道が見えません。崖でした。警笛を鳴らさずにカーブを曲がるので、一度、対向車にぶつかりそうになりました。

雀児山の峠は5080メートル。ここに至るまでに恐怖の山道が延々と続く 雀児山の峠は5080メートル。ここに至るまでに恐怖の山道が延々と続く

四川省北部をまわる旅は、どんな旅?

中国の西南地方にある四川省は山の多い地方です。チベット族が暮らす四川省北部の旅は、バスで山越えをすることになります。四川省の最北部に近い甘孜(カンゼ)から徳格(デルゲ)への道は、旅行者にとっては恐怖の道で知られています。目の前にそびえる雀児山は標高6168メートルです。氷河をいただく雀児山の峠を越えると、やっと目的地のデルゲに到着です。カンゼから約8時間、恐ろしくて、眠たくなるどころではないバスの旅がやっと終了しました。

小さくてもデルゲが有名な理由

デルゲは標高3220メートルの谷間にできた小さな町です。20〜30分もあれば、中心部を見終わるほどの小ささですが、デルゲはチベットでは有名なところです。ここでチベット全土で使われるチベット仏教の経典を印刷しています。印刷をしているのは、煉瓦色の大きなお寺「徳格印経院」、デルゲ・バルカンです。中に入ると、薄暗い部屋でお坊さんがノミで版木を作っているところも見学できました。チベット仏教の経典は、すべて手作業で、木版画印刷されていました。どうりで、時々、経典の字が微妙にずれているわけです。

デルゲが良いところであればあるほど、帰りたくなくなる

坂道の多いデルゲの町を歩いていると、赤やバター色をした石の髪飾りをつけたチベット族の女性が目につきます。男性は、黒いひもを頭に巻きつけたスタイルで、彫の深い男前です。煉瓦色をしたお寺が大きいので、デルゲの町そのもののようです。中心部を抜けると、山道には、チベット族の石造りの民家が点在しています。畑仕事から帰って来た若い娘さんにも出くわしました。デルゲがのどかな町であればあるほど、成都に戻るに、また、あの恐怖の山道をバスで越えるのがイヤになってきます。チベット仏教の経典を刷っている唯一の町、デルゲはおすすめですが、行き帰りには試練が待っています。