中国で体験した死ぬほど怖いバスの旅

怖すぎて、もう二度とバスの窓から下を見ることができません。さっき、バスの窓から景色を見た時、ちらっと下を見ました。えっ、道路もガードレールもない。そこまでぎりぎりのところを走っているの? 見えたのは、底が見えない崖! ここで死ぬかもしれません。万年雪を頂いた雀児山がどんなに美しくても、それどころじゃなくなりました。標高5000メートル近いところを走る道路は、対向車が見えないぐらい急なカーブが続いています。でも、運転手が警笛を鳴らしてくれません。カーブを曲がろうとした時、対向車が飛び出して来ました。運転手がハンドルを大きく切り、バスの中では悲鳴があがりました。こんな恐怖体験をしたのは、国道317号線のバスの旅です。

崖におちて、死ぬかと思った場所付近で見た景色 崖におちて、死ぬかと思った場所付近で見た景色

「中国で最も美しい6本の国道」に選ばれた317号線

2018年1月10日、中国のニュースサイト「今日頭条(今日のトップニュース)」で「中国で最も美しい6本の国道! 全部走れば、中国の半分を走ったのと同じ!」と言う特集記事がありました。この6本の国道に、317号線が含まれていました。317号線から見える雪山って、本当に美しいので納得です! 317号線は、四川省の省都成都からチベット自治区のナチュまでの全長2034キロです。外国人旅行者は、自由にチベット自治区に入ることはできません。私が乗ったのは、成都からチベット自治区との境界に近い徳格までの全長957キロです。

徳格の手前にある雀児山の標高5050メートルの峠。ここを越えれば、徳格はもう、すぐ 徳格の手前にある雀児山の標高5050メートルの峠。ここを越えれば、徳格はもう、すぐ

成都から翁達までの317号線の見どころとは?

317号線は、成都を出発すると、西に向かいます。バスは、徐々に高度を上げながら四川大地震の震源地のウェン(さんずいに文)川、米亜羅、馬爾康を通ります。馬爾康から約20分ほどでチベット族の石塔が建っている松崗です。この辺りは、アバチベット族羌族自治州に属しており、チベット族や羌族が多く住んでいます。中でも松崗は、荒涼とした風景の中に立派な石造りのチベット族の家が並んでいるところです。杜柯川沿いの317号線を走っていくと、翁達、炉霍、甘孜を通ります。翁達で道が分かれており、まっすぐ西に進めば、山にへばりついたような僧坊で知られる色達の五明佛学院に行くことができます。

松崗のチベット族の立派な家。どの家もペインティングされている。家の前の道路は317号線 松崗のチベット族の立派な家。どの家もペインティングされている。家の前の道路は317号線

317号線の旅をするなら甘孜を目指そう!

317号線は、翁達から南下し、最初の大きな町が炉霍です。炉霍を過ぎれば、約3時間で甘孜に到着。自由にチベット自治区には行けない外国人旅行者にとって、甘孜は317号線上の目的地と言ってもいい場所です。ゲルク派の大寺院の甘孜寺がある甘孜の街は、チベット族の住人も多く、チベット世界そのものです。317号線の旅は、甘孜までなら、特に危ない区間もありません。死ぬかと思うほど道が狭く、標高が高いところを走るのは、甘孜から徳格です。6000メートル級の雪山を眺めながら走れる317号線の旅は、山好きにはおすすめです。私は、甘孜にはまた、行きたいと思っていますが、もう1度、徳格に行く勇気は、ないです。もし、甘孜から徳格への旅に挑戦するなら、なるべく雨や雪が少ない季節を選んでくださいね。

徳格にある、チベット仏教の経典を印刷するデルゲ・バルカン(徳格印経院)。ここでチベットとチベット族自治州のお経を全て印刷している 徳格にある、チベット仏教の経典を印刷するデルゲ・バルカン(徳格印経院)。ここでチベットとチベット族自治州のお経を全て印刷している