- 浜井幸子
- 京都在住の神戸人。19歳の時、人生初の海外旅行で中国に行き、何が飛び出してくるかわからない中国の魅力にはまる。その後、成都と北京に語学留学し、現在は主に中国の食と旅をテーマに執筆活動中。中国の粉もの文化を中心としたアジアの食が得意分野。著書に「シルクロードおもしろ商人スクラップ」、「中国まんぷくスクラップ」などがある。
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成都の武候祠にある諸葛孔明像。NHKで放送されたドラマ「人形劇三国志」の諸葛孔明像も展示されているので、三国志の入り口がこのドラマだった人は必見
三国志の聖地と呼ばれているのは、中国西南部の四川省成都にある武候祠です。蜀を開いた劉備玄徳を支えた軍師であり、政治家である諸葛孔明を祀っているのが武候祠です。武候祠は、陝西省漢中市勉県、甘粛省隴南市礼県、重慶市奉節白帝城武候祠など中国全土にあわせて7か所あります。全て魏や呉との戦闘上、軍事的に重要だった場所に建てられています。その中で成都の武候祠は、最も有名なところです。蜀の都であった成都にあるだけでなく、他の武候祠に比べると最も行きやすいこともあり、聖地となっています。成都の周辺には、三国志の史跡が集まっています。2000年代前半なら、数回にわけて成都を訪れないと行けなかった周辺の史跡が、高速鉄道や高速道路の開通により、簡単に行けるようになっています。行く前にしっかり調べておくと、次回の予定の史跡までまわれそうです。
ラン中の漢桓候祠の中にある張飛像。張飛は、どこの展示を見てもひげもじゃでどんぐり眼
成都の北東部にあるラン(門がまえの中に良)中は、劉備玄徳の義兄弟だった張飛が最後の太守を務めたところです。嘉陵江の北岸に位置するラン中古城は、中国4大古城の一つにもなっている風情のある町です。古城内を縦横に走る石畳の通りの両脇には、明清代に建てられた木造家屋が並んでいます。ひなびた雰囲気の通りには明代に建てられた楼閣も残っています。その古城内に張飛を祀った漢桓候祠があります。ラン中は、部下に殺された張飛の終焉の地なのです。私が訪れた2013年は鉄道がなかったので、高速バスで約3時間半かけて行きました。その後、2014年12月30日に鉄道が開通しました。2016年5月15日からは動車(日本の新幹線に相当する高鉄ではないが、それに次ぐ高速の鉄道)が開通し、現在は成都から所要約2時間18分で行けるようになりました。
剣門閣は、2008年四川大地震で倒壊し、現在のものは2009年に再建されたもの。広元から剣門関は、広元南バスターミナルから直通バスが1日に2本、所要約80分
ラン中の北側に位置する広元は、三国志ファンにとっては重要な史跡がある町です。ラン中から高鉄か動車に乗れば、約1時間で広元に到着。広元に近い剣門関は、蜀を守る最後の砦とも言える関所です。諸葛孔明の死後、将軍の姜維がここで何度も魏軍を防ぎました。しかし、263年、別道を通った魏軍が成都を攻め、蜀は滅亡します。剣門関は、蜀の命運が尽きた場所とも言えます。剣門関一帯は非常に険しい山岳地帯にあります。剣門閣までは、ぜひとも登ってみたいもの。ここから剣門関一帯を見わたすと、この地が難所であることがよくわかります。また、剣門関一帯は旅游区になっており、中には姜維墓もあります。三国志関連の史跡にはお決まりの三国志の名場面を描いた絵と武将の人形が飾られています。
昭化古城は広元南バスターミナルから7時20分から17時半ごろまでに約20分に1本、所要約40分
剣門関まで見学したのなら、広元市内の昭化古城も行きたいです。昭化古城とは、かつての葭萌関を指します。陝西省との境界に近い場所にあり、古代の古戦場です。残念ながら、2008年の四川大地震で多くの建築物が倒壊し、現在見られるのは再建されたものです。三国志ファンにとっては、ここに行くことに意味があります。曹操との戦いに敗れ、落ち延びてきた馬超と蜀の張飛との一騎打ちがここでありました。最強の二人と言ってもいい武将同士なので、勝負がつかず、たいまつを立てて夜まで戦い、互いを認め合いました。その場所が昭化古城の西門に近い「戦勝バ(土へんに貝)」です。また、諸葛孔明亡きあとの蜀を支えた政治家である費い(示すへんに偉いの右側)の墓である敬候祠もあります。成都から広元は、高鉄か動車で約1時間50分。成都の武候祠からラン中、剣門関、葭萌関をあわせて見られたら、かなり充実すること間違いなし。高速鉄道をうまく利用して成都から三国志の蜀の史跡を回る旅をしてみませんか!
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