重慶の「長江索道」が、とにかく珍しい理由

「夕方じゃなくて夜に乗ってよかった。夜景がきれい!」。私が乗っているのは、長江の上を渡るロープウェイです。中国の西南部に位置する重慶市は、長江と嘉陵江という2つの川が交わる部分に市の中心部があります。そのうち長江には、中心部の渝中区から対岸の南岸区へ「長江索道(チャンジャンスオタオ)」と呼ばれるロープウェイがかかっています。この長江索道は、中国でも本当に珍しいんですよ。中国で最も長い河の長江にかかっているからではなく、ロープウェイが公共の交通機関になっているからです。中国広しと言えども、こんな都市は重慶だけです。正確に言うと、公共の交通機関でした。つい最近まで重慶市民は、このロープウェイに乗って、通学や通勤をしていました。

重慶の中心部、渝中区から見た長江の景色。手前に止まっている大型客船は、三峡下りをする船 重慶の中心部、渝中区から見た長江の景色。手前に止まっている大型客船は、三峡下りをする船

山城にぴったりな「長江索道」の別名

重慶は、平地が少なく、坂の多い町です。丘陵地帯に高層ビルが立ち並んでいるので要塞のようです。こんな重慶の別名は「山城」です。そのため長江索道は、「山城空中公共汽車」と呼ばれていました。「公共汽車」とは、バスのことです。ロープウェイの四角い車体が、バスに似ているので「山城空中バス」です。長江の上を空中散歩ができるなんておもしろい! こんなことが体験できるのは重慶だけです。そのため観光客にも長江索道は大変人気があります。かつては、嘉陵江にも「嘉陵江索道」がかかっていましたが、2013年の2月に解体されてしまいました。「軽軌(チンクイ)」と呼ばれるモノレールが通ったのです。

長江索道は、高層ビルの間を縫うように空を走っていきます。そこが不思議な感じです。 長江索道は、高層ビルの間を縫うように空を走っていきます。そこが不思議な感じです。

「長江索道」にとにかく乗ってみましょう!

「嘉陵江索道」がなくなったので、現在、重慶に残っているロープウェイは長江索道だけになってしまいました。ただ、長江側にも軽軌は通ったので、長江索道は、ほぼ観光用になり、重慶市民の足ではなくなりました。とりあえず軽軌6号線「小什字」駅に近い新華路の乗り場から長江索道に乗ってみました。時間帯によっては、中国人団体ツアー客と重なり、大変混みあいますが、夜は意外とすいているようです。エレベーターで2階に上がり、おもちゃの車体のようなロープウェイに乗りました。ほぼ満員になるまで待って、やっと出発です。

長江索道に乗ると、いったいどんな気分?

「キャーン」という悲鳴のような合図で出発! これから4分間の空中散歩が始まります! グイーンと高層マンションの間を抜けていき、あっという間に長江の上まで来ました。南岸区に向かって左に見えるのは、上は車、下は軽軌が走っている東小門大橋です。重慶一と言われる嘉陵江沿いの「洪崖洞(ホンヤートン)」の夜景には負けてますが、ロープウェイから見る夜景もかなりいいです。あっという間の4分間です。私は往復チケットを買ったので、今度は、南岸区から渝中区に向かって出発です。長江の上を、山城にそびえたつ高層ビルの間を空中バスに乗って散歩する気持ちが十分味わえました。現在、長江索道は、往復で30元(約480円)です。2年前の3倍の値段です。中国は観光にかかる費用がアジアで一番高い国といわれています。観光用となると、あっという間に値上げりする可能性大です。長江索道もなるべく早いうちに乗るのがおすすめです。

長江の上に見える光っている車両が長江索道。光輝く空中バスが夜の長江の上を飛んでいきます 長江の上に見える光っている車両が長江索道。光輝く空中バスが夜の長江の上を飛んでいきます