日本ではあまり紹介されていない、今、重慶で一番人気の観光地

日本のガイドブックでは、ほとんど紹介されていないけれど、地元では今、すごく人気がある。中高年で行く人はあまりいないのに、若い旅行者はみんな行く。時々、こんな観光地ってありませんか? 2016年の11月に訪れた重慶の「山城歩道(サンチョンプータオ)」がまさにそうでした。重慶は、中国西南部に位置する中国で4番目の直轄市です。1997年までは四川省に属していた重慶は、今では高層ビルが立ち並び、「小香港」と呼ばれるほど発展しました。長江と嘉陵江の合流点に市の中心部がある重慶は、平地が少なく、坂の多い町です。高低差の大きな土地に高層ビルが建ち並ぶ姿は、まさに要塞で、重慶の別名が「山城」だということがよくわかります。

若い旅行者に人気の「十八梯(シーバーティ)」 若い旅行者に人気の「十八梯(シーバーティ)」

今時の重慶観光とオーソドックスな重慶観光

重慶は、日中戦争中、国民党が建てた中華民国の臨時首都でした。1949年までに起きた歴史的事件の舞台でもあり、重慶と言えば、中国近代史の史跡の宝庫です。そのため重慶旅行と言えば、周公館や桂園などの革命関連史跡を回るものでしたが、今、これが変わってきています。ツアーなら今もオーソドックスな観光地を回りますが、個人のしかも若者の旅行となると革命関連史跡は、全くと言っていいほど訪れる人がいません。若者が重慶で訪れるのは、夜景のスポットで知られる洪崖洞に加え、「十八梯(シーバーティ)」や「山城歩道」です。特に「山城歩道」は、今、一番人気がある観光地です。

中興路に面した「山城歩道」の入り口。重慶一の繁華街から徒歩10分もかからない場所にあります 中興路に面した「山城歩道」の入り口。重慶一の繁華街から徒歩10分もかからない場所にあります

「十八梯」と「山城歩道」で見られる世界

十八梯も山城歩道も中国人の中高年の旅行者からすれば、特におもしろくないところです。その年代の人にはあまりにも見慣れた風景ですから。どちらも「老重慶(ラオチョンチン)」と言われる「昔の重慶」の姿が残っている地区です。80年代や90年代生まれの若者にとっては、高層マンションが立ち並ぶ風景のほうが見慣れた風景です。木造の伝統家屋や西洋とアジアが混じった古い洋館の町並は、若者にはノスタルジックでどこか映画のような世界です。日本で言うなら昭和の普通の人々を描いた映画「三丁目の夕日」の世界です。再開発が決まり、住民がいなくなった十八梯と違い、山城歩道は今も住人がいます。そこが若者に受けているところです。

山城歩道から見た長江沿いの重慶の風景。西部大開発という政策によって、重慶はかつての面影がなくなるほど発展しました 山城歩道から見た長江沿いの重慶の風景。西部大開発という政策によって、重慶はかつての面影がなくなるほど発展しました

夕暮れ時の山城歩道に行ってみよう!

山城歩道は、軽軌(モノレール)1号線の「較場口」駅5番出口で下車し、中興路を下っていきます。人民法院の隣に「山城歩道」と書かれた入り口があるので、そこを登っていきます。石段の沿いには古民家が並んでいます。どの家も玄関の横に流し台があります。80年代、90年代の庶民の家は、どこもこんな感じでした。板にかかれた手書きの看板などは、今となっては懐かしさでいっぱいのアートのようでした。しかも私が訪れたのは午後6時頃で裸電球の灯りも付き始めました。哀愁を帯びた少し昔の風景に胸が痛くなるほど感動してしまいました。こんな昔の中国の風景が、今時の若者の心をとらえているのです。重慶に行ったら、山城歩道に行ってみませんか! 昔懐かし中国の世界に魅せられますよ!

重慶一の繁華街から徒歩10分の場所にこんなところが残っているなんて! 重慶一の繁華街から徒歩10分の場所にこんなところが残っているなんて!