もっと早く来たかったと後悔! 「十八梯」とは?

ボロボロでくずれそうな伝統的な民家、欧米列強の租界があった頃を思わせる古い洋館。ああ、もう少し早く来たかった! ここは中国の西南部に位置する重慶市にある「十八梯」です。重慶市は、1997年に四川省から離れ、中国で4番目の直轄市となりました。その後、飛躍的な経済発展をとげ、今では中国で五番目の都市にまで成長しました。「小香港」と呼ばれるほど高層ビルが立ち並ぶ重慶のど真ん中に「十八梯」はあります。ここは、「老重慶」と呼ばれる昔ながらの重慶の風景が残っているところです。再開発が決まり、ほとんどの住人が立ち退かされてしまったので、現在、ほぼ無人地区です。

十八梯は、モノレール1号線「較場口」下車。ロータリーに入り口が面しているのですぐ、わかります 十八梯は、モノレール1号線「較場口」下車。ロータリーに入り口が面しているのですぐ、わかります

「十八梯」と呼ばれるようになった理由

重慶市は、長江と嘉陵江が交わるところに市の中心部である渝中区があります。渝中区の一番の繁華街と言えば、解放碑が建っているあたりです。高層ビルが立ち並ぶなかにグッチやルイヴィトンなどが店を構えています。ここから徒歩10分ほどで十八梯に着きます。十八梯は、日本語に直すと「十八階段」です。明代、ここには井戸があったそうです。井戸から民家までの距離がちょうど18段の石段だったので、十八梯と呼ばれるようになりました。重慶一の繁華街から十八梯に足を踏み入れると、住人がいなくなった現在ですら、あまりの世界の違いに驚いてしまいます。

十八梯の入り口付近に建つ「吊脚楼」の伝統家屋。かつてはいったい何世帯が住んでいたのだろう 十八梯の入り口付近に建つ「吊脚楼」の伝統家屋。かつてはいったい何世帯が住んでいたのだろう

十八梯がにぎやかだった頃の住人はどんな人たち?

十八梯は、「最重慶」や「老重慶」と紹介されることが多いのですが、これは一番重慶らしいや昔の重慶を感じられる場所という意味です。「吊脚楼」という1階部分が柱だけの空間で上層部が部屋になっている伝統家屋が目につきますが、なにしろ古いのでボロボロです。十八梯は、ワケあり者の隠れ場所とも言われ、「貧民窟」とも呼ばれることもありました。耳そうじ屋、服の修理屋、マッサージ屋など小さな商売の人たちが住んでいたので、今でも庶民的な雰囲気の中にかつての怪しい感じが残っています。今、この十八梯が、若い旅行者の人気観光スポットになっています。ユースホステルが主催する街歩きコースにも入っているほどです。

写真に映し出されているのは、2015年6月まで確かに存在した住人の生活 写真に映し出されているのは、2015年6月まで確かに存在した住人の生活

伝統風景区になる前に、かつての姿を残す十八梯を見に行こう!

十八梯は、2010年7月に再開発が決まり、2015年6月に7700戸の住民が引っ越しました。2016年11月現在、十八梯の中心にあたる階段周辺以外は、既に壊されてしまいました。階段周辺は伝統風景区としての保存が決まり、写真展が催されています。路上に出したテーブルで夕涼みをしながらごはんを食べる家族、わずかな家財道具だけの小さな部屋で暮らす老人などなど。十八梯がにぎやかだった頃の写真はどれも失われてしまった世界が映し出されていて胸が痛くなる感じです。この写真展には、現在と未来も描かれています。十八梯を出ていった住人たちの新しい生活です。誰もが十八梯の家よりも広くてこざっぱりした現代的な家に住み、こちらを向いて笑っている写真です。遠からず本来の姿を失う十八梯と最初で最後の写真展、とにかくおすすめです!

かつてのご近所さんとは離れてしまっただろうけれど、今も元気に暮らす住人の姿がとってもいいですよ! かつてのご近所さんとは離れてしまっただろうけれど、今も元気に暮らす住人の姿がとってもいいですよ!