現代的な重慶に残る「老重慶」とは?

「こんなところにまだ、『老重慶(ラオチョンチン)』があったのね」と思うような風景が、軽軌(モノレール)「両路口」駅のそばにひっそりと残っていました。重慶は、中国西南部に位置する直轄市です。高層ビルが立ち並ぶ現在の重慶の姿は、まるで香港のよう。その高層ビルの間に「老重慶」と呼ばれる昔ながらの重慶が、ほんのわずかに残っています。山城と呼ばれるほど坂道が多い重慶には、「吊脚楼(ディアオジチャオロウ)」と呼ばれる斜面や崖によりかかったような建築様式があります。古びてボロボロになった吊脚楼の家屋は、老重慶そのものでしたが、重慶中心部には、ほとんど残っていません。最後の老重慶とも言える場所が「十八梯」と「山城歩道」でした。

軽軌「両路口」駅から重慶駅前広場への降り口になっている階段。このそばに「老重慶」が残っている 軽軌「両路口」駅から重慶駅前広場への降り口になっている階段。このそばに「老重慶」が残っている

「十八梯」と「山城歩道」

中でも十八梯は、貧民窟とも悪の巣窟とも言われた場所です。表社会で生きて行くことが難しくなった人が、逃げ込むにはぴったりの妖しい雰囲気も持っていました。山城歩道は、長江が見える道沿いに残った遊歩道です。遊歩道沿いには、玄関の真横に洗い場がある70年代や80年代の中国の民家が並び、レトロでいい感じでした。現在、十八梯は、再開発のため、ほぼ更地になっています。山城歩道は、民家は残っているものの住人はほぼ、立ち退いてしまい、空き家です。人が住まなくなると、魅力も半減。建物だけが残っていても、もうそこに「老重慶」を見出すことは難しくなってしまいました。現在、本当に小さな空間ですが、「老重慶」を感じられるのは、軽軌1号線と3号線の「両路口」駅の3番出口周辺です。

山城歩道沿いの民家。2016年秋は、住民がまだ、住んでいた 山城歩道沿いの民家。2016年秋は、住民がまだ、住んでいた

「老重慶」を体験できる軽軌「両路口」駅3番出口

両路口駅の3番出口を出ると、薄暗い建物間にある石段があります。この石段の両サイドには農貿市場や小さな食堂が集まっており、ごちゃごちゃしています。石段を降りると正面に小さな食堂があります。食堂の横の細い路地に入っていくと、そこに「老重慶」が待っています。わずかな野菜を売る路上市場やこんなものを買う人がいるんだろうかと思わずにはいられないガラクタを売る店が並んでいます。食堂では、出稼ぎ風の男性たちが、「豆花飯(トウホアファン)」と呼ばれる、豆腐とごはんのセットを食べています。これは四川や重慶では、最も庶民的なごはんです。安くて、美味しい豆腐とラー油のタレだけでどんぶりいっぱいのごはんを食べる人々の姿も「老重慶」に欠かせない風景の一つ。

食堂の入り口に用意されている豆花飯の豆花とラー油のタレ 食堂の入り口に用意されている豆花飯の豆花とラー油のタレ

両路口駅4番出口から「皇冠電梯」に乗ってみよう!

食堂の細い路地は、あっという間に終わってしまいます。元来た道に戻ると、重慶駅と重慶バスターミナルがある広場に降りられる長い階段があります。このあたりも「老重慶」と言うほどではありませんが、きらびやかすぎない、昔っぽい重慶を感じられる場所です。軽軌の両路口駅に戻り、4番出口から「皇冠電梯(エレベーター)」に乗るのもおすすめ! 全長112メートルのエレベーターは、アジア最長のエレベーターでもあり、重慶の名所の一つにもなっています。93年に工事が着工され、96年に営業が始まった皇冠エレベーターも今では、レトロな雰囲気を楽しめる乗り物のひとつです。「老重慶」を探しに軽軌の両路口駅に行ってみませんか!

皇冠エレベーターは、片道2元(約36円)。角度が急なので、高所恐怖症の方は、怖いかもしれない 皇冠エレベーターは、片道2元(約36円)。角度が急なので、高所恐怖症の方は、怖いかもしれない