便利な場所にあるのに、四川人ですら知らない安岳

「今度、安岳に石刻を見に行きます」と言うと、ほとんどの中国人は安岳のことを知りません。四川人にすら「安岳? どこですか?」と逆に質問されるぐらいです。中国の西南部に位置する四川省は、風光明媚な景色と名所旧跡が充実しているところです。楽山大仏、九寨溝、峨眉山などの世界遺産に加え、武候祠、杜甫草堂など名所旧跡の宝庫です。有名観光地が多すぎて、知名度の低い安岳の石刻を知っている人は、少数派はどころかほぼ皆無。安岳は成都から高速バスで約3時間30分です。成都と重慶を結ぶラインのちょうど中間あたり、世界遺産の大足石窟にもほど近い場所にあります。

世界遺産「大足石窟」。ここはやはり世界遺産の貫禄あり! 造像の数、迫力、レベルともに最高峰! 世界遺産「大足石窟」。ここはやはり世界遺産の貫禄あり! 造像の数、迫力、レベルともに最高峰!

世界遺産「大足石窟」の周辺は、石窟と造像だらけ

1997年に重慶市が四川省から離れて直轄市となるまで、世界遺産の「大足石窟」は四川省に属していました。現在は「大足石窟」は重慶市大足区に属しています。重慶から約170キロのところにある大足は、潼南県、銅梁県、栄川区、栄昌県、四川省安岳県に囲まれています。このあたりは、唐から南宋の時代に彫られた石窟や造像の宝庫です。大足には、70か所を越える石窟と造像は10万体を越えていると言われています。最も規模が大きく、立派なものが世界遺産の大足石窟の「宝頂山石刻」と「北山石刻」です。そりゃ、世界遺産と比べると安岳の石窟は、見劣りしますが、相当立派なものです。

安岳の県城から約15キロ離れた通賢鎮。こんな小さな町からミニバスに乗って石窟を見に行きます 安岳の県城から約15キロ離れた通賢鎮。こんな小さな町からミニバスに乗って石窟を見に行きます

安岳石刻は行くのがちょっと面倒!

安岳石刻の中でも中心となるのは、臥仏院、園覚洞、千仏寨の3か所です。最も有名な臥仏院は、安岳県の中心部から約25キロ離れた八廟にあります。ふっくらおだやかな顔立ちの涅槃像は、見に行くのが大変です。マイナーなので、臥仏院までの公共の交通機関がほとんどないのが問題です。安岳中心バスターミナルから午後3時発の1本だけ。これでは、臥佛院から日帰りは難しくなります。これが世界遺産なら不便な場所でも公共の交通機関がありますが、有名でない場所は、バスもほとんどないようです。途中からバイクタクシーかタクシーで行くことになります。以前は橋がなく、小さな船で対岸にある臥仏院に渡ったので、橋ができただけでもかなりの進歩です。

臥仏院の涅槃像。唐代の仏像らしいふっくら穏やかなお顔に癒されます 臥仏院の涅槃像。唐代の仏像らしいふっくら穏やかなお顔に癒されます

安岳で行ってみたい! 臥仏寺と圓覚洞!

臥仏院の涅槃像は、唐代の貞元(785〜805)年代に彫られたものだと言われています。全長23メートル、肩幅3.1メートルもの大きさがあります。見に来た人はきっと「ここに来るまでは大変だったけど、来て良かった。たった30元で見られてうれしいっ!」って思うはず。四川省の世界遺産は入場料が高く、100元(約1700円)前後は常識。その他の名所旧跡の入場料も高めです。その中で安岳の臥仏院は破格の安さです。市内中心部から約2キロ離れた圓覚洞にも晩唐から五代、北宋時代にかけて彫られた造像が多数あります。全部で1993尊とも言われ、こちらも入場料も安く、見ごたえたっぷりですが、観光客は少ないです。安岳は、世界遺産の大足に近すぎました。大足が近くなければ、ここも一大仏教史跡の基地となったはずです。安岳は成都から簡単に行けるので、仏像に興味がある人は、足をのばしてみませんか!

圓覚洞は、安岳県城から4路バスに乗り、終点下車。入場料50元(約850円)はお値打ち 圓覚洞は、安岳県城から4路バスに乗り、終点下車。入場料50元(約850円)はお値打ち