巨大な家を見に福建省の永定へ

まるで巨大な円盤が舞い降りてきたような家があるのをご存知でしょうか。それは「円楼」と呼ばれる集合住宅で、中国の福建省に建っています。大きなもので直径が約60mといいますから、小さな野球場ぐらいの規模といってもいいでしょう。円楼は「土楼」という建築の一種で、円状の土楼を円楼、四角い土楼を「方楼」と呼びます。五角形、八角形の土楼も存在します。いったいなぜこのような建物がつくられたのでしょうか。福建省の厦門から西へバスで約4時間、永定という町に、その円楼を見に行くことにしましょう。

中国福建省に舞い降りた巨大な円盤の家(前編) 中国福建省に舞い降りた巨大な円盤の家(前編)

客家が造った堅牢な住宅

永定は小さな町ですが、そこには多くの土楼が数多く建っています。ここでは決して珍しい建物ではなく、永定だけでなんと2万座もあるそうです。土楼を造り、そこで暮らしているのは「客家(はっか)」と呼ばれる人々です。客家とは「よそ者」というような意味ですが、中国の河南省あたりから福建省へ移住してきた人々でした。あとからやってきた客家の人々は、先住民の少ない山間部に移り住みましたが、そこは盗賊が多い危険な場所でした。外敵から守るために集団で堅牢な集合住宅を造る必要があったのです。それが土楼という建築の始まりです。

円楼はどのように造られるのか

盗賊の襲撃から身を守るためなので、円楼は頑丈である必要があります。基本的には土と木で造られていますが、その工法は昔からある素朴なもので、石で基礎を造り、その上に土を積んで固めていく「版築」という工法で造られています。その壁は厚く、下層部で2m近くあるそうですから、かなり頑丈なことでしょう。土の壁がこれほど厚いと断熱効果も抜群なので、冬の寒さや夏の暑さ対策にもいいでしょう。大型の円楼には250室以上の部屋があり、300人以上の人が住んでいるそうです(多いときは600〜700人住んでいたそうです)。一つの円楼が小さな村ぐらいの規模なのですね。基本的に一つの土楼には血縁のある一族しか住まないのだそうです。