円楼の中に入ってみると

円楼は外から見ると、まるで野球場のようです。外壁は土で塗り固められています。外に向かって開いた窓は四角い小さなもので、それもあまりたくさんはありません。外敵に備えて窓は大きくできないのですね。さあ、いよいよ円楼の中へ入ってみます。中庭にも円状の建物が2重3重に建てられていて、この建物は共同の台所、トイレなどの水回り用。その奥の中心部には一族の神様を祀るお堂があります。一番外側の建物は4階建て。内側に通路が造られ、たくさんの扉と窓が並んでいます。通路には洗濯物も干してあり、生活感にあふれています。

中国福建省に舞い降りた巨大な円盤の家(後編) 中国福建省に舞い降りた巨大な円盤の家(後編)

円楼の部屋はどんな感じ?

筆者は1709年に造られた「承啓楼」という円楼に宿泊しました。部屋は簡素そのもので、3畳ほどの板張りの部屋に、木製のベッドと洋服ダンスが一つ。裸電球がぶら下がっています。トイレは部屋を出て中庭まで行かなくてはならないので、夜中は、部屋の前に置いてあるおしっこ専用のカメにします(女性は部屋の中でポリバケツに用を足す)。居心地がいいとは言えませんが、なにしろ400年も前に造られたものですし、人々の生活の様子を知るにはいい体験だと思います。通路に出て見渡すと、円楼に住む人々の様子がパノラマのように広がります。そう、それは一族みんなの生活そのものなのです。

土楼はこれからどうなっていくのか

今もいくつかの土楼には人々が暮らしていますが、廃棄されていく土楼も多くなったといいます。土楼を維持するにもお金がかかりますし、厦門のような大都会へバスで4時間で行けるとなると、僻地の農村を離れていく人も多いことでしょう。一族だけが住む土楼という世界は、安心感がある一方で閉鎖的でもあります。移り変わる時代に土楼が生き残るのはむずかしいかもしれません。しかし、2008年に土楼は世界遺産に登録され、訪れる観光客も増えています。この独特な土楼文化をずっと維持して伝えていって欲しいと願わずにはいられません。